最新記事
英王室

ヘンリー王子のバルコニー不在が物語る、断絶と不安な将来

Prince Harry Balcony Absence Reveals Stark Reality About His Future

2023年5月8日(月)17時00分
ジャック・ロイストン

戴冠式でヘンリーは王室メンバーの最後列に追いやられた(5月8日、ウェストミンスター寺院) BEN STANSALL/REUTERS

<父チャールズ国王の戴冠式に参列したヘンリー王子は、バルコニーに呼ばれることなく、空港に直行した。この日の彼の行動は、英王室との断絶と自立の必要性を意味している>

【動画】「彼は第二のヘンリー?」ダンスを踊ったり大あくびをしたり、戴冠式で伸び伸びしすぎたルイ王子に先行きを危ぶむ声

イギリスのチャールズ3世とカミラ王妃が戴冠したばかりの王冠を被ってバッキンガム宮殿のバルコニーに姿を現したとき、ヘンリー王子はすでにアメリカへの帰国の途についていた。

ヘンリーは父の戴冠式が終わるとすぐさま会場を出た。カリフォルニアに戻って息子のアーチー王子の4歳の誕生日を祝い、娘のリリベット王女に会うためだ。ヒースロー空港に到着したところで、ディオールのモーニングスーツを着て、勲章を付けたままの姿を写真に撮られた。

戴冠式が行われるウェストミンスター寺院に入場する際、アンドルー王子と娘のユージェニー王女、ベアトリス王女と同じグループだったことからして、ヘンリーはもともと、バルコニーに立つことはなかったと思われる。

アンドルー王子と2人の娘はいずれもフルタイムで公務をこなす王族ではない。戴冠式での席次はヘンリーと同じ列だったが、彼らも他のバルコニーに出ることはなかった。

また、イギリスのマスコミでは、ヘンリーが宮殿での昼食会に招待されたが、出席を確認していないという噂が流れていた。

チャールズとカミラの結婚式の写真を撮った写真家ヒューゴ・バーナンドが、バルコニーに登場した王室メンバーの公式集合写真を撮影したが、案の定そこには早々にイギリスを去ったヘンリーの姿はなかった。

アメリカでも人気急落

この日のできごとは、ヘンリーの将来が王室から完全に切り離されたことを意味し、王室との関係だけでなく、現在ヘンリーが暮らすアメリカにおける王子としての立場にも影響を与えることになるだろう。

ネットフリックスのドキュメンタリー番組『ハリー&メーガン』やヘンリーの回顧録『スペア』など、ヘンリー夫妻は昨年12月から今年1月にかけて、王室に新たな猛攻を仕掛けた。だがこれによって通常は彼らを支持するアメリカのメディアも批判的になり、コメディアンからは嘲笑され、2人の人気は急落した。

ここで得られた教訓は、現役王族時代に困難な経験をしたからといって、王室を離脱後何年も、際限なくその経験を金儲けに使い続ければ人々は離れていくということだった。

戴冠式において、ヘンリーの席次は前から3列目だったが、これは王室メンバーとして最後列にあたる。それはヘンリーが好き勝手に王室との関わりを更新暴露するためにイギリスに戻ることは許さない、という重要な点を浮き彫りにするための周到なお膳立てのように見えた。

このような王室の態度は、それほど目新しい話ではないかもしれない。だが、ヘンリーが兄のウィリアム王子や他の王族とともに葬列に加わった2022年9月のエリザベス2世の葬儀や関連行事のときと比べて、5月6日の戴冠式ではその態度がよりあからさまになっていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中