最新記事

【動画】ロシアで相次ぐ火災、爆発、火災......これはウクライナの「反攻準備」の一環か?

2023年5月2日(火)15時59分

ドローンによると思われる攻撃で燃え上がる、クリミアの軍港セバストポリの燃料貯蔵施設(4月29日) Governor of Sevastopol Mikhail Razvozhaev/Telegram/REUTERS

<クリミアの軍港セバストポリの燃料タンクへの攻撃は「反攻準備の一環」と、ウクライナが軍の関与を認めた。ロシアで相次ぐ謎の爆発はやはりウクライナの仕業?>

ロシアの貨物列車がウクライナ国境近くを走行中に、爆発物にぶつかって爆発した模様を捉えた動画が、5月1日にソーシャルメディアに投稿された。

この列車は、ロシア西部ブリャンスク州のウネーチャ地区を走るブリャンスク=ウネーチャ鉄道を走行中だったと、ブリャンスク州のアレクサンドル・ボゴマズ知事は1日、通信アプリ「テレグラム」への投稿で明らかにし、この爆発による死傷者はいないと述べた。

「この爆発の結果、機関車2両と貨物車7両が脱線した。残りの車両は、安全な距離まで移動した」とボゴマズは述べた。報道によれば、列車は石油製品などを運んでいた。

線路に爆発物を置いたのが誰かは不明だが、この爆発は、ロシアとウクライナの戦争のなかで起きた。ロシアで最も西側に属する州の1つでウクライナとも国境を接するブリャンスク州は、これまでも何度か攻撃を受けてきた。

この爆発を引き起こした人物について、ボゴマズはロシア側の見解を明かさず、ウクライナ側からも犯行声明はない。ロシアの領土内で起きた攻撃についてはコメントしないのが、ウクライナ側の通例だ。

しかしウクライナ軍参謀本部は、29日にクリミア半島の軍港セバストポリの燃料貯蔵施設で起きた大規模火災について、「大規模な反転攻勢の準備の一環」と異例の発表を行い、ウクライナ軍の関与を示唆した。クリミア半島は2014年にロシアが一方的に併合。その奪還はウクライナの悲願だ。

27日には、ロシア唯一の多連装ロケットシステム(MLRS)の工場で大規模な火災が起こった。ロシア軍にMLRSを供給する唯一の工場だけに、ウクライナの関与が疑われている。ただし他の越境攻撃がロシアとの国境近くに集中しているのに対し、この工場はロシア中部のペルミにあり、モスクワから約1500キロも内陸にある。

列車への攻撃と時とほぼ同じくしてロシアの重要施設に対する攻撃が多発しているのは、春の大攻勢に向けた「準備」がより大規模に進行しているのかもしれない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中