最新記事
ウクライナ情勢

F-16は、スペックで優るロシアのスホーイSu-35戦闘機に勝てるのか?

Why Russia's Superior Jet Will Lose Against Ukrainian F-16s

2023年5月25日(木)17時23分
エリー・クック

第4世代のF16に対して、ロシアのSu-35(写真)は第4.5世代の戦闘機だ Military TV/YouTube

<ウクライナ戦争の空の戦いは最新型戦闘機を投入しているロシア軍優位だが、戦いは必ずしもスペックだけでは決まらない>

ロシアのスホーイSu-35戦闘機は、アメリカ製の戦闘機に優るとも劣らない高性能の戦闘機とみられている。だが、ウクライナ空軍兵士が操縦することになるとみられるアメリカ製のF-16戦闘機と対戦すれば、撃墜されるのはSu-35のほうだろうと専門家は語った。

ウクライナ政府は以前からF-16戦闘機などの欧米製戦闘機の供与を要請してきた。それが実現しようとしている今、ウクライナ戦争における空の戦いの焦点が絞られつつある。

専門家によると、欧米製の戦闘機のなかでいちばんの注目を集めているF-16は、ウクライナ空軍をアップグレードする最有力候補だ。F-16にはいくつかのバージョンがあり、ウクライナにどのモデルが送られるかは明らかではない。

ウクライナは現在、ロシア空軍と似た旧ソ連時代のジェット機を運用している。ウクライナにF-16を供与することは、ウクライナ空軍が技術的に欧米の軍用機に大きく転換するだけでなく、軍事ドクトリンそのものもNATO式に移行することを意味する。

スペックはロシア軍機が上

イギリス軍のフランク・レドウィッジによれば、ロシアのSu-35がウクライナ戦争で、アメリカ製のF-16と直接対決する可能性は低い。だが、Su-35はロシアで最も先進的な4.5世代戦闘機の一つと考えられており、F-16のような第4世代の戦闘機を撃墜するために「特別に」設計されている、と彼は本誌に語った。

Su-35はSu-27戦闘機の近代化バージョンで、ロシア政府が大半を所有する航空宇宙・防衛企業、統一航空機製造会社(UAC)によれば、「空、陸、海の目標に対する交戦効果を著しく高める」ように設計されている。Su-35の初飛行は2008年2月に行われた。

「書類の上ではSu-35は、ウクライナに供与される可能性のあるF-16よりも優れていると言えるが、それだけでは話は終わらない」と、英キングス・カレッジ・ロンドンのフリーマン航空宇宙研究所で共同ディレクターを務めるデービッド・ジョーダンは言う。

「Su-35の仕様からすれば、多くの点でF-15より優れた航空機といえるかもしれない」と、元英国空軍上級司令官グレッグ・バグウェルは本誌に語った。だが実際には「仕様だけでは判断できない複雑な事情がある」

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権

ビジネス

シタデル創業者グリフィン氏、少数株売却に前向き I

ワールド

米SEC委員長が来年1月に退任へ 功績評価の一方で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中