戦争終結がいまだ見えないウクライナの復興事業 チェコとポーランド、58兆円規模の事業獲得レースの先頭走る
チェコとポーランドの企業が、ウクライナの復興事業獲得を見据え、いち早く行動を起こしている。写真は2022年7月、ロシアの攻撃を受けたキーウ近郊の街を訪問したオーストリアとチェコの外相。ウクライナ外務省提供(2023年 ロイター)
チェコとポーランドの企業が、ウクライナの復興事業獲得を見据え、いち早く行動を起こしている。まだ、戦争が続く中でも、事業拠点の選定を進めたり、具体的な契約締結に乗り出したり、プロジェクトを立ち上げたりする動きまで見える。
これらの企業の幹部やチェコ、ポーランドの政府当局者によると、現時点で進められているプロジェクトの大半は、ロシアの侵攻でダメージを受けた基本的なインフラの復旧が焦点になっている。だが、いったん戦闘が終結すれば、新たな種類の投資案件の出現が期待できるという。
始まった第1段階
チェコ政府のウクライナ復興問題特使、トマス・コペクニー氏は、復興が本格的に始まった時に、受注レースの先頭にいられるのは、今恐れずにウクライナに向かう諸国になると指摘した。
チェコ政府は、2025年までにウクライナで事業を展開しようとする企業を支え、地域の貿易ミッション経由でウクライナ政府と契約を結ぶのを手助けするため、毎年5億コルナ(2350万ドル)を拠出すると約束している。
「各企業や政府は、ウクライナの市場が将来的に大きな商機になると認識している」とコペクニー氏は語り、チェコ企業がウクライナで得る収入は向こう何年間かで数倍に膨れ上がると予想。「ウクライナ復興の少なくとも第1段階は、既に進行している」と言い切った。
ロイターは、合計で十数人の企業幹部や政府関係者から、なお戦場となっているウクライナにおける事業内容や計画に関し、詳しく話を聞くことができた。
確かに復興需要は非常に大きい。ウクライナ政府と世界銀行が共同で試算したところでは、復興にかかる総費用は4110億ドル(約57兆8000億円)と、ウクライナの昨年の国内総生産(GDP)見込み額の2.6倍に上る。
ポーランドの銀行ペカオは、こうした復興需要によるポーランド経済の押し上げ効果は最大1890億ズロチ(456億ドル)で、ポーランドGDPの約3.8%に相当すると見積もった。
同国の建設会社ユニベプの副最高経営責任者(CEO)は「戦争が終わった段階で、ウクライナに資金が流入し、とても大きな建設市場が生まれる。多分、欧州最大規模になるだろう」と想定した。