スーダンからの自国民退避、大人数のアメリカは極めて困難
Sudan mass evacuation not feasible for U.S. citizens: ex-ambassador
軍用機でスーダンから隣国ジブチに退避したスペインの外交官と市民(4月24日) Spanish Defence Ministry/REUTERS
<これまで退避に成功してきたのは数十人や数百人単位のグループ。スーダンに残った1万6000人のアメリカ人を救い出すのは至難の技だ>
戦闘が続くアフリカ北東部スーダンの治安は改善の兆しがみえず、自国民の国外退避を目指す国々は「悲惨な状況」に直面している――前駐米スーダン大使が本誌にこう語った。
スーダンではスーダン国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘が続いている。イスラム教のラマダン(断食月)明けの祝祭に合わせた停戦合意がなされたものの守られず、戦闘には「終わりが見えない」状況だと、2020~2022年まで駐米スーダン大使を務めたヌレルディン・サティは語る。
「人道的停戦は部分的にしか守られず、双方によって破られた」とサティは指摘。それでも、一時的な戦闘停止の間に「首都ハルツームのアメリカ大使館職員をはじめ、ほかの複数の国の外交官や一部の市民は国外に退避できた」。
だが(約1万6000人のアメリカ人を含む)多くの市民はいまだ避難ができずにいる。居住地域の周辺では市街戦や空爆が続いており、ハルツーム国際空港も戦闘で被害を受けたからだ。
「このような状況では、大人数を退避させるのは不可能だ。比較的少人数であれば避難させられるかもしれないが、大人数の退避には、長期の停戦が実現するのを待つしかない」とサティは指摘した。
飛行場も飛行機も損壊
「ハルツームの空港はかなりの被害を受けて悲惨な状況だ。国軍とRSFが、空港にいた人々や航空機に乗って離陸を待っていた人々の安全をまったく考えず、無差別爆撃を行ったためだ」
「一部の航空機が大きな損傷を受け、乗客は急いでターミナルに避難しなければならなかった。これも、好戦的な連中が無責任な行動を取っていることの証だ」
米国防総省は23日、米軍がハルツームにあるアメリカ大使館の職員100人近くに加えて「同盟国の少人数の外交官」を現地から避難させたと発表した。
クリストファー・マイヤー米国防次官補(特殊作戦・低強度紛争担当)は、米国防総省は「今後も国務省と協力して、スーダンからの退避を望む米市民の支援を行っていく」と述べた。
「その一つの方法として考えられるのが陸路での国外退避で、この方法の方が実行可能かもしれない。そのため国防総省では現在、避難ルートの監視や脅威の検知を行うための情報収集、監視や偵察能力の使用を含むさまざまな行動を検討している」
本誌はスーダンに残っている米市民の現状について、米国務省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。