中国の露骨な「台湾封鎖」訓練に米軍が駆逐艦で即応
China Forces on 'High Alert' After U.S. Warship Transits Taiwan Strait
南シナ海で任務中の駆逐艦ミリウス(4月10日) U.S. Navy/REUTERS
<台湾海峡と南シナ海で、中国とアメリカの緊張が高まっている >
中国軍は2023年4月17日、米海軍が台湾海峡で自らの存在感を「公然と誇張した」と抗議した。前日の16日に、米海軍が駆逐艦「ミリアス」を台湾海峡を航行させたことを受けてのことだ。緊張が漂う台湾海峡に米海軍が駆逐艦を派遣したのは、今年これで2度目だ。
【動画】台湾海峡を通過し「航行の自由」を示した米駆逐艦ミリアス
中国人民解放軍(PLA)東部戦区の報道官である陸軍大校の施毅(シー・イー)は談話を発表し、中国の部隊は「高い警戒態勢を常時維持し、国家の主権と安全、地域の平和と安定を死守する」と述べた。米海軍第7艦隊はその数時間後、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦のミリアスが4月16日に「台湾海峡を通常通り通過した」と発表した。
アメリカは、台湾は中国の一部で将来は武力を使ってでも統一を目指す、という中国の政策に公式には反対していない。だが台湾は民主主義で、国民は中国の統治をほとんど支持していない。従って、中台問題は威圧や武力を使わず平和裏に解決すべきだというのが米政府の主張だ。
露骨な「台湾封鎖」演習
駆逐艦ミリアスの航行直前の4月8日〜10日には、中国が台湾周辺で「台湾封鎖」をシミュレーションする露骨な軍事演習を行った。台湾総統の蔡英文が4月はじめに訪米し、下院議長ケビン・マッカーシーと会談したことへの対抗措置だ。中国は蔡を分離主義者とみなしており、米政治指導者の内政干渉を非難してきた。一方の台湾は、中国には台湾の外交に口を挟む権利はないと主張している。
中国人民解放軍報道官の施は、台湾海峡を航行する駆逐艦ミリアスの動きは中国軍が逐次追跡していたと述べた。台湾国防省が4月17日に発表したところによると、ミリアスは他の自軍船舶を伴わずに一隻で海峡を北方向に通過した。
米海軍の艦船は近年、頻繁に台湾海峡を通過している。同盟国の艦船が通過するケースもある。米海軍が台湾海峡を通過した回数は、2022年が9回、2021年が12回だった。2023年1月には、米海軍アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦チャンフーンが、今年初めて台湾海峡を通過。2月には、米軍の哨戒機P-8A(ポセイドン)が台湾海峡上空を飛行した。
中国軍と中国政府は2022年夏以降、中国政府による明確な許可なく、外国の船舶や航空機が台湾海峡を通過することの法的権利に疑義を呈してきた。米当局はこれを、中国政府が国際法を骨抜きにしようとする試みだと見ている。