中国軍の台湾「封鎖」演習を監視していた米海軍第11空母打撃群
U.S. Navy strike group keeps close eye on China's carrier near Taiwan
中国軍の演習に睨みを利かせた米空母ニミッツ(写真は2008年2月28日、韓国の釜山) Jo Yong-Hak-REUTERS
<南シナ海で航行の自由作戦を実施してアメリカと台湾の接近に神経を尖らせる中国軍をけん制>
米海軍は4月10日、南シナ海で「航行の自由作戦」を実施した。台湾周辺で同日まで3日間にわたって軍事演習を行っていた中国軍をけん制する目的があったものとみられている。
中国海軍が運用する3隻の空母のうち2隻目にあたる「山東」は、4月5日に初めて太平洋上を航行しているのが確認された。台湾の蔡英文総統が、訪問先のアメリカでケビン・マッカーシー米下院議長と会談を行う数時間前のことだ。中国軍は、この会談への対抗措置の一環として、山東をはじめとする艦船や軍用機が台湾「包囲」軍事演習に参加したと明らかにした。
中国は台湾を自国の領土と主張しており、必要とあれば武力によって統一すると宣言してきた。1949年に国共内戦に敗れた国民党が台湾に逃れて以降、台湾は事実上の独立状態を維持してきている。中国政府は独立姿勢を鮮明に打ち出してきた蔡を「分離独立主義者」と見なしている。
蔡は8日、中国が台湾の標的をミサイル攻撃するシミュレーションを含む軍事演習を開始したことを受けて、本土安全保障担当の当局者らを招集した。中国軍は10日、台湾包囲と正確な攻撃のシミュレーションを伴う「連合利剣(鋭い剣)」演習が「成功裏に完了」したと発表した。
宮古島南で計120回発着艦
今回の軍事演習は、2022年8月にナンシー・ペロシが現職の米下院議長(当時)が台湾を訪問した後に実施された軍事演習ほどの規模には達しなかった。
とはいえ、台湾周辺の海上と上空に数十機の軍用機と11隻にのぼる艦船を展開させており、軍事的な圧力は十分だった。演習には中国の艦載戦闘機「殲15」少なくとも4機が参加し、台湾国防部によれば10日に台湾南東部の防空識別圏に侵入した。殲15は台湾の東沖約370キロメのところで演習に参加していた山東から発艦したとされている。
アメリカとその同盟国である日本は、山東の動向を厳重に監視してきた。先週、山東が太平洋上の海域を航行しているのを確認した日本の統合幕僚監部によれば、山東は4月7日から9日にかけて宮古島から南に約230~430キロメートルの海域を航行し、この間に艦載戦闘機を計80回、艦載ヘリを計40回発着艦させたということだ。
また同防衛省の情報によれば、山東と共に中国軍の駆逐艦「焦作」やフリゲート艦「柳州」、戦闘支援艦「査干湖」も同海域を航行しているのが確認された。
だが台湾の東岸から約590キロ地点には、米海軍第11空母打撃群と旗艦の米原子力空母「ニミッツ」が派遣され、日米双方の発表によれば、週末までに東シナ海から太平洋西部にかけて日本の海上自衛隊の艦船と共に海上訓練を行った。