最新記事
テスラ

「他人のテスラを解錠できた」気付かず運転した男性と本来の持ち主、円満解決もお互い動揺

2023年4月10日(月)17時10分
青葉やまと

本来の持ち主は、テスラをUberドライバーとして使用しているマームード・エシーさんだった。当時車を使っていたのは、マームードさんから車を借りた弟のモハメッドさんだ。モハメッドさんは、駐車したはずの場所に戻ると、車がなくなっていて慌てたという。兄から借りた車が盗まれたと思い、アプリの遠隔ロックを試すが、効かなかったと述べている。

モハメッドさんがあたりを見渡すと、よく似た車両が残されていた。試しにキーカードで解錠を試みると、なぜかドアが開く。こうして車内から電話番号の書かれた書類を発見し、ショートメッセージで無事連絡を取ることができたという。

笑顔の二人だが、兄は不安を訴える

グローバル・ニュースは、二人は笑顔を交わし、互いに不満がないことを確認した上でそれぞれ元の車両に戻って別れたと報じている。だが、車両の持ち主である兄のマームードさんは、いまも気が気でないようだ。ワシントン・ポスト紙に対し、「もしランデヴさんが事故に遭っていたら、あるいは車に乗り込んだ誰かが犯罪に使っていたら.....」と恐怖を語っている。

米自動車ニュースサイトの「ドライブ」は、大昔であれば車に鍵を掛ける習慣が少なく、鍵もある程度共通のものが使われており、他人の車に乗り込むことはあり得たと説明している。だが同記事はまた、「しかし、高度に洗練されたキーフォブやキーレスエントリーシステムがある現代、このようなことが起こり得るのは驚きだ」とも指摘する。

【動画】他人のテスラ車を運転してしまったランデヴさんとモハメッドさん、笑顔で肩組む

今回の事例は北米の大手メディアや自動車関連サイトで報じられており、ハンドルの落下など不具合が相次ぐテスラの安全性に新たな疑問を投げかけるものだと指摘されている。一方、ランデヴさんはアプリで解錠したと証言しているものの、一部の視聴者や読者は、互いのキーフォブを車内に置き忘れていた場合に施錠されないことは起き得るとも議論している。

テスラは公式に声明を発表していない。ワシントン・ポストとグローバル・ニュースは、テスラにコメントを求めた。だが、広報部門が活動を停止しているテスラからは、メールボックスが一杯なのでメッセージを受け取れないとの自動返信が返ってきただけだったという。

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国、関税巡る米の「誤解」解消を模索 トランプ氏発

ワールド

米、イランへの圧力強化 イラクの電力輸入制裁免除打

ワールド

米CDC、ワクチンと自閉症の関連巡る調査を計画=関

ワールド

米コロンビア大の学生逮捕、親パレスチナデモに関与
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望的な瞬間、乗客が撮影していた映像が話題
  • 3
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 6
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 9
    中国経済に大きな打撃...1-2月の輸出が大幅に減速 …
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中