世界中に「秘密警察署」を張り巡らす中国の狙いは?
Secret Chinese Police Stations Are Legal in These Countries
セーフガード・ディフェンダーズは2022年12月、続報となる報告書を公開。中国公安部のさまざまな組織が管理する秘密警察署とされる100カ所超の詳細を伝えた。そうした拠点があるとされた国は、スペインのほか、イタリア、クロアチア、セルビア、ルーマニア、スウェーデン、ハンガリー、南アフリカ、日本などだ。
中国のある公安当局は、135人を雇って初期の21拠点を管理していたとされる。ある労働認可証は、ストックホルムで3年契約で雇用されたある職員の身分は「国外連絡担当職員」となっている。
ハンガリーの弁護士マートン・トムポシュは11月、ラジオ・フリー・ヨーロッパに対して、「(こうした)中国国外の警察(署)は、通常は(市民への)援助を提供しているだけだが、中国政府による監視の目が存在していることもうかがえる」と語った。
ロイターの報道によれば、2022年9月には、中国当局者がセルビアの首都ベオグラードの街路で、セルビア当局とともに合同パトロールを実施したという。パトロール対象の場所には、歩行者用道路、ランドマーク、空港、さらには郊外の中国系モールが含まれていた。
だがセルビアとクロアチアの当局は、自国内に「事実上の」中国警察が存在するとの主張に強く反論していると、バルカン・インサイトは12月に報じた。どちらの国の政府当局者も、中国との関係を高く評価しており、セーフガード・ディフェンダーズの報告書の主張は「根拠がない」と述べている。
中国は容疑を否定
中国公安部は11月にCNNに対し、「関係者がこうした状況を煽り、緊張を生み出すのをやめることを望んでいる」と述べた。「こうした状況を、中国を中傷する口実として利用することは許容しがたい」
セーフガード・ディフェンダーズによれば、アフリカとアジアで拠点はホスト国との二国間協定に基づいていると、中国政府は反論している。2015年に中国公安部が公開したそうした協定のひとつに、イタリア政府との合同警察パトロールがある。2016年には浙江省温州市の警察が、2018年には浙江省麗水市青田県の公安局が、この協定に基づきミラノに欧州の試験的拠点を設置している。
イタリアのマッテオ・ピアンテドージ内務相は2022年12月、イル・フォリオ紙に対し、イタリアで中国警察がイタリア警察と合同パトロールする許可を取り消すつもりだと述べた。