BTSメンバーの入隊を「最強兵器」にする韓国軍がかつての米軍に学ぶべきこと【注目ニュースを動画で解説】
Newsweek Japan-YouTube(BTS:Silvia Elizabeth Pangaro-shutterstock)
<国民からの不信感が募る韓国軍は、世界的ポップスターの力を借りて現状を変えられるのか。過去の米軍との類似点を解説した動画から一部を抜粋して紹介する>
世界的に活躍するKポップグループ「BTS」の所属事務所は昨秋、メンバーが順次兵役に就くことを発表した。韓国軍は彼らの入隊を機に、悪名高い徴兵のイメージを和らげるような広報活動を展開している。
スターの入隊によって軍がイメージ改善を図ることはアメリカでも過去にあった。この戦略の恩恵と限界を解説する。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「BTSは不信募る韓国軍変革の「切り札」に?メンバー入隊による恩恵と限界【アニメで解説】」の内容を一部抜粋して紹介する。
改革が進み、十分な報酬が支払われ、技術的に熟練した兵士で構成される軍隊が増大する国家安全保障の役割を引き受ける──これをアピールすることが韓国軍の狙いだ。
昨年12月に最年長のJIN、続いて今月J-HOPEが入隊したBTSは、そのPR活動の格好の担い手と言える。
韓国軍とBTSの関係は、米軍とエルビス・プレスリーとのケースに重ねられる。
プレスリーもBTSと同じく人気絶頂期にアメリカ陸軍に徴兵されている。当時の陸軍は、朝鮮戦争の失態や平時の徴兵制の不評といった問題を抱えていた。プレスリーの入隊には「特権的なセレブは徴兵を擦り抜けられるのでは?」という人々の疑いを跳ねのける狙いも。
プレスリーといえば、それまで若者の不服従の象徴で保守派の批判の的でもあった。その彼が2年間の軍隊生活で「道徳的に真っすぐな若い兵士」の風貌になり、陸軍は評判を高めることに成功した。
韓国軍には根深い虐待文化があり、過酷ないじめで兵士が自殺する事件も相次いでいる。そんななか、裕福な男性には兵役を免れる手段があることも徴兵制に対する長年の批判の一つだ。
もしもBTSのメンバーが兵役を果たさなければ、立場を利用して国民の義務を回避したとして国内で批判されたかもしれない。また、彼らの入隊とソーシャルメディアへの投稿は軍の有害な文化を追放し、問題を是正する意欲があることをアピールするチャンスとなるだろう。
とはいえ、韓国軍はプレスリーと米軍の経験から学ばなければならない。
プレスリーは除隊後、凡庸な(興行的には成功した)ハリウッド映画への出演が続いた。42歳で亡くなったが、ジョン・レノンはプレスリーについて「軍隊に入ったとき死んだ」と語った。陸軍の方もベトナム戦争の泥沼に陥り、PRは無に帰した。
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