策士トランプ、起訴への怒りで支持拡大狙う 共和党支持層の「トランプ劇場疲れ」の可能性も
バージニア大学政治センターのラリー・サバト理事は、起訴をきっかけに、トランプ氏のような司法上の「重荷」を持たないデサンティス・フロリダ州知事など、他の潜在的な大統領候補になびく共和党支持者が出てくる可能性を指摘。「トランプ氏に有利に働かないのは当然として、問題は打撃の程度だ」とし、今後さらに起訴が増えて問題が大きくなる可能性もあると予想した。
トランプ氏の選挙陣営は、今回の疑惑を捜査してきたニューヨーク州検察マンハッタン地区トップのアルビン・ブラッグ検事(民主党)について、トランプ氏の出馬を阻止して民主党を応援するつもりだと攻撃している。トランプ氏は25日、遊説先で、自身に対する捜査は「スターリン時代のロシアのホラーショーだ」と息巻いた。
トランプ氏に近い複数の筋によると、選挙陣営は今回の起訴について、議会における2度の弾劾訴追を含む全ての追求が「ディープ・ステート(闇の政府)」による不当な試みだったことの証拠だ、と訴えていく構えだ。
"テフロン・ドン"トランプ
ペンシルベニア州アレゲニー郡の共和党委員長、サム・デマルコ氏は、連邦検察は2018年にダニエルズさんの事案でトランプ氏への起訴を取り下げていると指摘し、共和党支持者は今回の起訴を政治的な動きと見なすだろうと語った。もっとも18年のケースの背景には、現職大統領を起訴しない司法省の方針がある。
トランプ氏は2015年に大統領選出馬の名乗りを上げて以来、幾度もピンチを切り抜けてきた。テフロン加工のように傷つかないという意味で「テフロン・ドン」の異名も取る同氏は、自分ならマンハッタンの真ん中でだれかを銃殺しても罪に問われないだろう、と豪語したこともある。
2016年の大統領選では、女性について下品な発言をしたテープが暴露されたにもかかわらず、民主党のヒラリー・クリントン候補を破った。大統領だった18年にはダニエルズさんの問題が持ち上がったが、政治的には無傷に等しかった。
24年大統領選の共和党予備選に向け、トランプ氏は依然として最有力候補だ。ロイター/イプソスが今月実施した世論調査では、共和党支持者の間でトランプ氏の支持率は44%と、デサンティス氏の30%を上回っている。
(Nathan Layne記者、 Gram Slattery記者)
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