ロシアとの戦いで「ウクライナ軍は世界一の軍隊になった」──豪軍事専門家
Ukraine's Army Is Now the Best in the World, Retired General Says
ロシアのウクライナ侵攻1年の式典のために整列したウクライナ兵(2月23日、英ソールズベリー近郊の訓練所)Toby Melville-REUTERS
<ロシアのウクライナ侵攻から13カ月、過酷な戦闘経験を積み重ねてきたウクライナ軍は、現時点で世界で最も優秀な軍隊だと、オーストラリアの退役少将がお墨付き>
ロシアとの戦争で、ウクライナ軍は現在世界で最も優秀な軍隊になった、とオーストラリア軍退役少将で軍事評論家としても知られるミック・ライアンは語った。
ライアンは2月23日にウクライナの英字紙キーウ・ポストのインタビューに応じ、ロシアとの戦いにおけるウクライナ軍のさまざまな特徴や、ミサイル防衛、ドローン防衛、前線戦闘部隊など、多方面にわたる能力がいかに発揮されたかを語った。
「私の見解では、ウクライナ軍は現時点で世界最高だ」と、ライアンは断言した。「これは臆測ではなく、事実だ。彼らは世界で最高の軍隊だ。近代戦において最も豊富な経験を積んだ軍隊であり、この13カ月間、それを実証してきた」
「今、ウクライナは多くの血を流し、性別、年齢を問わず多くの人材を失った。そして多くの教訓を学んだ。ウクライナ軍は世界で最も優れている。私たちが彼らから学べることはたくさんある」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月24日に「特別軍事作戦」としてウクライナで開始した戦争は今も続いている。
ライアンはキーウ・ポストに、ウクライナ軍に関わるいくつかの「要素」を指摘した。
「ウクライナの領土防衛軍には、古参兵と新たに動員された兵士で構成される精鋭部隊がある」と、彼は言う。「多くの独立した部隊があるようだ」
「さらに外国の部隊もいる。そのすべてをまとめることは、急速に拡大した軍にとってかなりの難題だ。そして、どんなに優秀な司令官にとっても困難な任務であり、戦時中にそれを行うとなると、さらに難しい」
訓練は十分ではないが
異論もある。米戦略国際問題研究所(CSIS)で国際保障プログラムの上級顧問を務めるマーク・キャンシアンは23日、本誌にこう語った。
「戦争における人的要素、特に訓練とリーダーシップを強調するライアンの意見は全く正しい。そして、ウクライナがロシア以外のどの国よりも最新の戦闘を経験していることは間違いない。ライアンが何度か指摘しているように、ウクライナ軍はロシア軍よりも優れている。とはいえ、それゆえにウクライナ軍が世界最高の軍隊とはいえない」
キャンシアンは「戦闘に入る前に2~3週間の訓練を受ける」だけのウクライナ軍と、米軍が行っている訓練の違いを指摘した。
「米海兵隊の新兵は全員、22週間の訓練を受ける」と、キャンシアンは言う。「ウクライナ軍は2個大隊をヨーロッパでの戦闘訓練に送り出している。一方、米軍は例年、約60個の大隊をナショナルトレーニングセンター(NTC)や米陸軍統合即応トレーニング・センター(JRTC)などの戦闘訓練所に送っている。ウクライナ軍の指揮官の多くは、戦場では高い技能を発揮しているが、複雑な共同作戦を実行するのに必要な幅広い訓練は足りないようだ」