欧州最大の陸軍大国を目指すポーランド
This NATO Ally is Building Strongest Army After Ukraine: Military Analyst
アメリカが動かないならポーランドが動く?(2022年12月、ワルシャワを訪問したバイデン米大統領とポーランドのドゥダ大統領) Andrew Kelly-REUTERS
<ウクライナが負けそうになってもNATOが動かない場合を想定し、ポーランドは軍備増強を進めている。だがいざというときポーランド軍は本当にロシアと戦えるのか?>
ロシアがウクライナでさらに攻勢を強める場合、NATOの盾になるのはポーランドかもしれない──軍事アナリストのハンス・ペッター・ミットゥンがそんな説を主張している。
ミットゥンは22日、ウクライナの英字紙キーウ・ポストに論説を発表。ウクライナにおけるロシアの「特別軍事作戦」は13カ月目を迎えるが、現状では、NATO内の意見の相違、ポーランドの武器備蓄の増加、東欧をよく知ることなどから、ポーランドが重要な存在になる、と論じた。
「肝心なのは、ポーランドはNATOの最近の戦略構想に従って考え、計画し、行動しているということだ」とミットゥンは書いている。「ポーランドは軍事力を増強しているが、それは、アメリカやNATOがやらないことを、必要であればやるためだ。つまり、ヨーロッパの安全保障と安定を脅かす戦争を止めるために、ウクライナ軍と一緒に戦うことを厭わない」
ポーランドは、ウクライナ軍への武器や戦闘機の提供と同時に、自国の国境を守ることにも力を入れている。マリウシュ・ブラスチャク国防相は最近、年内にロシアのカリーニングラード地方との国境付近にアメリカの高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)を配備することを明らかにした。
ウクライナに軍事支援をしたポーランドが、ロシア軍の標的にされないための自衛策だ。
踏み切った戦闘機支援
ポーランドのマリウシュ・カミンスキー内相は先日、ウクライナへの軍用品および援助物資の供給を妨害するロシアの陰謀に加担した容疑で、「東部国境を越えた外国人」6人を告発したことを発表した。
ロシアのウクライナ侵攻が始まった頃も、ロシアのスパイとされる人物がポーランドで逮捕され、ロシア政府のためにNATO軍の情報を収集した罪で起訴されている。
またポーランドのアンドレイ・ドゥダ大統領は3月16日、ソ連製ミグ29戦闘機4機をウクライナに「数日以内に」供与すると発表した。スロベキアもミグ戦闘機13機を提供することになっており、両国はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領による防空支援強化の要請に応えた形だ。
一方アメリカは、戦闘機供与には躊躇している。ジョー・バイデン大統領はウクライナ側の要求に応じず、代わりに豊富な武器、弾薬、大砲や防衛システムを提供することを選んだ。
ポーランドのヤン・エメリク・ロシュチシェフスキ駐仏大使は26日、フランスのテレビ局LCIに、「これまで以上に圧力が高めているのは、NATOでもポーランドでもスロバキアでもなく、ロシアだ」と語った。
彼はロシアによるウクライナ領土の占領、ウクライナ人殺害、ウクライナ人児童誘拐などに触れ、特に児童誘拐容疑では、ハーグの国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を出したことを指摘した。