若い国家主席がベトナムに誕生、その「つなぎ」の背景とは
2016年、同年国家主席になったチャン・ダイ・クアン公安大臣(当時、左)と握手するボー・バン・トゥオン(右、当時はホーチミン市共産党委員会副書記)Nguyen Huy Kham-REUTERS
<今年1月、フック前国家主席が任期途中で異例の辞任をしたことで大揺れしたベトナム政界。今回、政治局員16人の中で最年少のトゥオン新国家主席が就任した意味について>
ベトナム国会は3月2日、1月に辞任した同国のグエン・スアン・フック国家主席の後任にボー・バン・トゥオンを選出した。
国家主席は、ベトナムの最高指導部と呼ばれる共産党政治局のトップ4のポストである「4柱」の1つ。52歳のトゥオンは、政治局の16人の中で最年少だ。
前任のフックは、「4柱」のトップであるグエン・フー・チョン党書記長による汚職撲滅の流れで、部下の汚職の責任を問われ辞任に追い込まれた。
最高指導者のチョンは2021年から異例の3期目を務めており、任期は26年まで。トゥオンの選出は党指導部内で出身地のバランスを考慮したという声もあるが(トゥオンは南部出身)、トゥオンはチョンに忠誠を誓った側近だ。党指導部には、3年後の書記長交代を円滑に進めようという含みがあるだろう。
年少のトゥオンが26年の次期党大会で党書記長に選ばれることはないにしても、将来の書記長候補に名前を連ねたとの見方も浮上している。