水素活用の未来を拓く...新たな超音波式水素流量濃度計に、ここまで期待が集まる訳
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<世界的なカーボンニュートラルへの取り組みにおいて、水素を活用する燃料電池への期待が高まっている。その開発を促進する高い能力を備えた超音波式水素流量濃度計を、パナソニックが発表した>
水素と酸素を化学反応させて電気と熱を発生させる燃料電池。CO2を排出しないクリーンなエネルギーとして、燃料電池車をはじめとしたさまざまな用途に使われている。純水素型燃料電池を製造するパナソニックも、カーボンニュートラル実現に向けて、この水素の活用を重要な事業として位置付けている。
その燃料電池の開発において現在、重要視されていることがある。水素と酸素を化学反応させる際に、水素は一度ですべての量が反応するわけではなく、燃料電池内では活用されなかった水素が循環し、再び反応させて無駄を減らす仕組みとなっている。ただ、水素濃度が下がっているのに循環させたままでは効率が悪くなる。
つまり追加で水素を入れる最適なタイミングを知ることこそが、水素利用の効率を最適化するうえでの課題だった。これまでは、循環する水素の状態をリアルタイムで測定することが困難であり、それが効率的な燃料電池の開発のネックの1つになっていたのだ。
水素をはじめとした気体の流量や濃度を測るにはさまざま方法があり、もともとパナソニックには30年にわたる超音波を用いた計測技術の開発実績があった。ただ問題は、燃料電池は化学反応によって水が生成されるため、循環する水素が高湿度下に置かれることだった。高湿度環境下では超音波を使っても、水素の計測を正確に行うのは困難だというのが定説だった。
燃料電池動作状態で循環水素を見える化
こうした問題を克服したのが、同社の超音波式水素流量濃度計である。特長は3点あり、1点目は高湿度下での水素の流量と濃度の同時計測が可能なこと。これによって、燃料電池を動作させた状態での循環水素の見える化を実現した。2点目は、流量と濃度に加え、センサーによる温度、圧力、湿度の常時モニタリング機能を搭載したことで、これまで流量計とは別に用意しなければならなかった濃度計や温度計などが不要となった。
そして3点目が、低流量域から高流量域に至るまで、さらには-30℃から85℃までという、幅広い条件下での高精度な計測が可能になったことである。これまでは流量域に合わせて複数の計測機器が必要であったり、低濃度や高濃度のみ計測が可能であったりと、特定の条件下でしか計測ができなかった。
3つの特長を実現できた背景には、ガスメータデバイスにおけるこれまでの開発で培った、超音波センサーや超音波の計測ロジックなどの技術が関わっているという。