2人の人生を分けたもの──「性的対象」だったブルック・シールズとパメラ・アンダーソン
Another Wake-Up Call
シールズは闘って、ついに自分の声を手に入れた。そうして過去のイメージを塗り替え、より成熟した大人の女のイメージをつくり上げることに成功した。サンダンス映画祭では、彼女がクルーズに反論する場面で観客席から歓声が沸き起こった。
一方、アンダーソンが祝福される機会は永遠に訪れないだろう。なぜなら、大人になってからの自らの選択が自分を傷つける凶器になってしまったからだ。プレイボーイ誌でヌードを披露し、『ベイウォッチ』のようなドラマへの出演を選んだことで、世間は彼女自身が性的搾取に加担していると感じた。
その後、アンダーソンと夫のリーはセックスビデオのさらなる拡散を防ぐために、流出元とされるペントハウス誌を訴えた。
2人が闘った屈辱の裁判
だが当時、2人目の子の妊娠7カ月目に入っていたアンダーソンにとって、それは法廷で屈辱的な尋問に耐えなければならないことを意味した。目の前に自分の裸の写真を並べられ、まるで彼女自身に何らかの非があるかのように、性生活について根掘り葉掘り聞かれた。
「私に同情する気配は全くなかった」と、彼女は今回の映画で語っている。「プレイボーイに出るような女だから、きっと裸を見せるのが好きなんだろうって感じで」
これと同じような場面が、シールズのドキュメンタリーにも出てくる。
シールズはまだ10歳の時、家族の友人だったゲアリー・グロスにヌード写真を撮られ、その販売を阻止するために16歳で裁判を起こした。
裁判記録には、グロス側の弁護人がシールズに「君はセクシーな自分が好きなんだろう」と尋ねたと記されている。弁護人はさらに、シールズが「性的に早熟な魔性の女のイメージを確立しようとしていた」とも主張した。