残酷な内戦と大地震に揺さぶられて...シリア援助に見る国際社会の重要な課題
Trapped by Assad
人道的義務に則した援助を提供するのが、責任あるやり方だ。災害や紛争に起因する苦しみを防止・改善するために行動する。この原則より優先すべきものはない。ダマスカス経由の援助提供に際して既に設けられている厳格な条件を不問にするなら、シリアの現体制の常態化を意図しないまま招く恐れがある。
シリア政府に人道的措置は期待できない。内戦勃発後、北西部にある病院を攻撃から守るため、シリア政府の同盟国ロシアに各病院の位置を伝えることで国際社会は合意した。だが位置情報は直ちに攻撃目標情報に転化され、リストに掲載されていたほぼ全ての病院が爆撃された。
結局のところ、シリア政府は欧米からの支援を拒否し、墓穴を掘る可能性のほうが高い。それでもアメリカと同盟国は、今回の悲劇のより幅広い文脈を見失ってはならない。
追加支援が認められた場合には、国連が精査した担い手によって、事前に定められたコミュニティーに援助が届くよう、厳重な措置を講じる必要がある。それでも、国連の調達資金の4分の1近くが制裁対象者に流れている現状では決して万全とは言えないが、国連はこうした状況を必要悪と受け止めているようだ。
最後に、シリア政府が援助を拒んだり、あり得ない支援条件を課すならば、今回の危機がもたらす深刻な結果を明確に認識する必要がある。
地震前、シリアは経済崩壊や人道危機、解決困難な政治的・民族的・宗派的不安定のどん底に落ちかけていた。問題の根本的要因である現体制は、譲歩する姿勢を全く示していない。シリアから欧州への不法移民は昨年、100%増加した。大地震の破壊的な影響によって、その数は今春、さらに急増するだろう。
国際社会はあまりに長い間、その場しのぎの対応を続け、根本原因に目を向けず、それどころかシリアそのものを無視してきた。そんな怠慢は今すぐ、終わりにすべきだ。