核魚雷「ポセイドン」、世界最大のロシア原潜「ベルゴロド」に搭載、配備か
Russia's Next-Best Submarine Dwarfs Largest in U.S. Fleet
『レッド・オクトーバーを追え』のモデルにもなった原潜ドミトリー・ドンスコイ(写真)は退役、さらに大きくさらに恐るべき原潜が後を継ぐ(2017年、サンクトペテルブルク) Anton Vaganov-REUTERS
<専門家が決して勝負してはならないと言うポセイドンは、空母も海岸沿いの軍事基地もすべて呑み込む終末兵器。まもなく最大最新の原潜に搭載されるという>
ロシア海軍で最大かつ最強の原子力潜水艦が引退したが、後継の潜水艦はさらに強大で、いくつかの点でアメリカ海軍最大、最強の潜水艦をも凌駕する脅威になる。
ここ数カ月、長くロシア艦隊最大の原子力潜水艦だったドミトリー・ドンスコイが退役したという噂が流れていたが、ロシア海軍支援運動を率いるウラジーミル・マルツェフは2月6日、ロシアの報道機関に対し、ドミトリー・ドンスコイの正式引退を明らかにした。この艦は、冷戦時代にソビエト連邦で開発されたタイフーン型潜水艦の最後の一隻で、世界最大の潜水艦として広く認められていたが、今は解体が始まっているという。
次の主役は昨年7月に就役したオスカーII級潜水艦ベルゴロドだ。
20発の弾道ミサイルを搭載したドミトリー・ドンスコイと違ってベルゴロドはまだ核兵器の装備を完了していないが、ロシア海軍が「黙示録の兵器」と喧伝する核魚雷「ポセイドン」を搭載できる。
「核兵器を搭載した巨大魚雷ポセイドンは世界の歴史からしてもユニークな存在だ」と、アメリカの潜水艦専門家H.I.サットンは昨年3月の英海軍の公式新聞ナーバル・ニュースに書いている。「ポセイドンは全く新しいカテゴリーの兵器だ。おかげでロシアも西側諸国も、海軍の編成を再構築することになり、それは新たな装備と新たな対抗兵器の開発につながるだろう」
核戦争はロシア有利に
ベルゴロドは現存する世界最大の潜水艦だ。全長約184メートルで、米海軍最大のオハイオ級潜水艦(全長171メートル)よりもはるかに長い。
オハイオ級潜水艦の後継艦として開発され、2031年の就役が予定されるコロンビア級潜水艦もサイズはオハイオ級と同じになるため、今後しばらくロシアのベルゴロドの最大の地位は揺るがない。
「ベルゴロドが、ロシアによる宣伝どおりの性能を発揮するとしたら、ロシアの強力な戦略的資産となるだろう」と軍事専門家ダニエル・デービスは本誌に語った。「強力な兵器は数あるが、特筆すべきはやはり核魚雷ポセイドンだ。これは世界で最も強力な潜水艦発射兵器の1つだろう。沿岸の都市や海軍基地を破壊し、空母のような主要な水上戦闘艦を標的にすることができる」。
「ロシアはウクライナ戦争において、通常兵器による地上戦では劣勢かもしれないが、戦略兵器の場合、話は別だ。限定的な核攻撃の応酬が起きた場合、アメリカの最も強力な水上戦闘艦の一部を破壊することもできる」と、デービスは付け加えた。「だからわれわれは、いかなる理由があってもロシアと核戦争をやってはいけない」