韓国戦車が欧州の戦場を埋め尽くす日
Tanks From South Korea
独仏の姿なき共同声明
ポーランドから大型契約をを取り付けたことも、韓国に有利に働く可能性がある。
防衛産業の近代化と拡大を進めているポーランドは、アメリカとトルコを除くどのNATO加盟国よりも多くの近代的戦車を保有している。事実、ポーランドの保有する戦車の数は、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、イタリアの保有台数の合計を上回る。ヨーロッパで実戦配備されているレオパルト2は推定で約2000両だが、今後数年でポーランドだけでも1000両近くが実戦配備される見通しだ。
この点は、ポーランドがヨーロッパの大国よりもロシアの侵略に立ち向かう準備ができていることを示している。自国が保有するレオパルト2のウクライナへの供与を表明している国々は今後、K2の調達をポーランドとの相互運用性を向上させる手段として検討する可能性がある。
アメリカも、韓国がヨーロッパ防衛市場でのシェアを積極的に拡大すれば、自国にとって利益になると考えているかもしれない。北朝鮮の侵略行為に立ち向かうのに必要な近代的兵器を造れる韓国の防衛産業が活性化すれば、アメリカの国益にもかなう。
韓国の兵器産業とヨーロッパの安全保障が結び付けば、アメリカの同盟諸国にも有益なつながりをもたらす。例えばポーランド軍は今後、自国と韓国の両方で韓国軍との合同演習を行うだろう。
しかもロシアとウクライナの戦争が激化し、アメリカとその同盟国は大規模な戦争がどれだけ装備や弾薬を消耗させるかを思い知らされている。装備の不足に迅速に対処できる国と商業的な関係を結ぶのは理にかなう。
1月19日、エストニアの首都タリンで、ウクライナ支援に向けて欧州9カ国が発表した共同声明「タリン誓約」の署名式が行われた。そこにはフランスやドイツなど、今までヨーロッパのリーダーとみられてきた国々の名前がなかった。ヨーロッパの中心部と、ロシアの脅威に直面する周辺国との間に、脅威の受け止め方や切迫感に大きな温度差があることが浮き彫りになった。
今後は多くの国がポーランドに倣い、ヨーロッパの安全保障を臆病なドイツの「人質」に取られるよりも、戦略上の柔軟性や国内経済の強化をもたらす国と新しい関係を結ぶことを選ぶかもしれない。
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、27年までに世界の防衛産業市場で4位になるという目標を掲げている。ヨーロッパ諸国からさらに取引を獲得する準備は整った。