最新記事

ジョーク

岸田政権の経済政策は「笑撃」の自国民制裁

2023年1月19日(木)16時15分
早坂 隆(ノンフィクション作家、ジョーク収集家)

急速な円安局面と合わせて「ダブルパンチ」の様相だが、残念ながら企業の賃上げはこの動きにいまだ追いついていない。円安を利用して産業の空洞化を解消し、国内に投資を呼び込むような流れも弱い。

それにしても、「デフレ」もダメだが「急激なインフレ」もダメ、「円高」もダメだが「急速な円安もダメ」というのだから、経済というのは随分と難儀でデリケートなものである。

こうして国民の生活は苦しくなるばかりだが、日本政府は「減税」を求める声にはどうもツレない。

日本政府は自国民への経済制裁に随分と熱心のようである。

◇ ◇ ◇

●電気代
とある男が友人に言った。

「今日、電力会社の集金係と大ゲンカしたよ」

「どうして?」

「だって、あまりに電気代が高すぎるからね」

「確かにね。で、どうなったんだい?」

「まあ、引き分けといったところさ。うちは電気を止められ、電力会社は1円も取れなかったんだから」

そろそろ日本国民も暴れ出す?

経済を左右するのは、国民一人ひとりの「心のツマミ」の位置。ツマミがネガティブな方向に回されれば、社会は不景気へと傾いていく。「経済はマインドで動く」と言われるが、「内向き」は「下向き」に通ずる。国民は景気に対して「観客」ではなく「選手」である。

政治家の役割は、国民に「ツマミをポジティブに回せ」と命じることではない。自然にツマミをひねりたくなるような状況を「器」として整備していくことである。「良いワインは良い樽から生まれる」とは、昔、イタリアの酒場で酔っ払いから聞いた言葉。

ルイ14世時代のフランスで財務総監(財務大臣)を務めたコルベールは、徴税に関してこう言ったと伝えられる。「ガチョウから羽を取る際、一気にむしり取ってはいけない。適度に抜けば、ガチョウは暴れもしない。黙っている。むしろ満足した顔をしている。これが徴税の極意だ」。

令和日本のガチョウも、そろそろ暴れ出すかもしれない。

◇ ◇ ◇

●景気回復
不況とは、あなたが失業すること。

大不況とは、隣人も失業すること。

では景気回復とは?

岸田首相が失業すること。

◇ ◇ ◇

たかがジョーク、されどジョーク。首相に聞こえるか、この切なる笑い声。

世界のマネージョーク集――笑って学ぶお金とのつきあい方
 早坂 隆 著
 中公新書ラクレ

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

早坂 隆
ノンフィクション作家、ジョーク収集家。著書に『世界の日本人ジョーク集』『新・世界の日本人ジョーク集』『世界の日本人ジョーク集 令和編』(いずれも中公新書ラクレ)、『指揮官の決断――満州とアッツの将軍 樋口季一郎』『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』『ペリリュー玉砕――南洋のサムライ・中川州男の戦い』(いずれも文春新書)、『すばらしき国、ニッポン』(文響社)、『昭和史の声』(飛鳥新社)、『戦時下のノーサイド 大学ラグビー部員たちの生と死』(さくら舎)など。最新刊は『世界のマネージョーク集――笑って学ぶお金とのつきあい方』(中公新書ラクレ)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中