岸田政権の経済政策は「笑撃」の自国民制裁
急速な円安局面と合わせて「ダブルパンチ」の様相だが、残念ながら企業の賃上げはこの動きにいまだ追いついていない。円安を利用して産業の空洞化を解消し、国内に投資を呼び込むような流れも弱い。
それにしても、「デフレ」もダメだが「急激なインフレ」もダメ、「円高」もダメだが「急速な円安もダメ」というのだから、経済というのは随分と難儀でデリケートなものである。
こうして国民の生活は苦しくなるばかりだが、日本政府は「減税」を求める声にはどうもツレない。
日本政府は自国民への経済制裁に随分と熱心のようである。
●電気代
とある男が友人に言った。
「今日、電力会社の集金係と大ゲンカしたよ」
「どうして?」
「だって、あまりに電気代が高すぎるからね」
「確かにね。で、どうなったんだい?」
「まあ、引き分けといったところさ。うちは電気を止められ、電力会社は1円も取れなかったんだから」
そろそろ日本国民も暴れ出す?
経済を左右するのは、国民一人ひとりの「心のツマミ」の位置。ツマミがネガティブな方向に回されれば、社会は不景気へと傾いていく。「経済はマインドで動く」と言われるが、「内向き」は「下向き」に通ずる。国民は景気に対して「観客」ではなく「選手」である。
政治家の役割は、国民に「ツマミをポジティブに回せ」と命じることではない。自然にツマミをひねりたくなるような状況を「器」として整備していくことである。「良いワインは良い樽から生まれる」とは、昔、イタリアの酒場で酔っ払いから聞いた言葉。
ルイ14世時代のフランスで財務総監(財務大臣)を務めたコルベールは、徴税に関してこう言ったと伝えられる。「ガチョウから羽を取る際、一気にむしり取ってはいけない。適度に抜けば、ガチョウは暴れもしない。黙っている。むしろ満足した顔をしている。これが徴税の極意だ」。
令和日本のガチョウも、そろそろ暴れ出すかもしれない。
●景気回復
不況とは、あなたが失業すること。
大不況とは、隣人も失業すること。
では景気回復とは?
岸田首相が失業すること。
たかがジョーク、されどジョーク。首相に聞こえるか、この切なる笑い声。
『世界のマネージョーク集――笑って学ぶお金とのつきあい方』
早坂 隆 著
中公新書ラクレ
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)
早坂 隆
ノンフィクション作家、ジョーク収集家。著書に『世界の日本人ジョーク集』『新・世界の日本人ジョーク集』『世界の日本人ジョーク集 令和編』(いずれも中公新書ラクレ)、『指揮官の決断――満州とアッツの将軍 樋口季一郎』『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』『ペリリュー玉砕――南洋のサムライ・中川州男の戦い』(いずれも文春新書)、『すばらしき国、ニッポン』(文響社)、『昭和史の声』(飛鳥新社)、『戦時下のノーサイド 大学ラグビー部員たちの生と死』(さくら舎)など。最新刊は『世界のマネージョーク集――笑って学ぶお金とのつきあい方』(中公新書ラクレ)。