15回投票の米下院議長選、極右議員への「とんでもない譲歩」が明らかに
■特別小委員会の設置
マッカーシーは下院司法員会の下に特別小委員会を設置するという極右の提案も受け入れた。極右に言わせると、これは「司法の政治利用」を監視する組織で、ホワイトハウスのスタッフを召喚する権限を持ち、最高レベルの機密も扱う下院情報委員会が入手したあらゆる情報にアクセスできる。
極右がこの小委員会の設置を求めたのは、連邦議会議事堂襲撃事件の捜査やトランプ前大統領の不正疑惑の捜査を妨害するためだろう。
■予備選で極右候補を有利に
マッカーシーは極右と手を打つために、共和党の予備選で彼らを勝たせるような小細工までした。下院選で共和党候補を支援している政治資金団体「議会リーダーシップ基金」に、共和党候補の勝利がほぼ確実な選挙区では、予備選で特定の候補に選挙資金を提供しないよう求めたのだ。
極右の狙いは、予備選で共和党主流派の候補に与えられる資金を減らし、自分たちが勝つ確率を高めること。だが、この小細工は共和党全体にとっては命取りになりかねない。
昨秋の中間選挙で「赤い波」が起きなかったように、あまりに極端な右派を擁立すれば、伝統的に共和党が強固な支持基盤を持つ選挙区も民主党に奪われかねないからだ。