インドネシア、収賄容疑で知事逮捕に支持者ら暴徒化 催涙弾で応じる警察と市街戦
投石する州知事支持者たちに警察は催涙弾の水平発射し、市街戦のような状況に…… KOMPASTV / YouTube
<自らが支持する政治家を盲信するのはアジアでも──>
インドネシアの汚職撲滅委員会(KPK)は1月10日、同国東部ニューギニア島にあるパプア州のルーカス・エネンベ知事を収賄容疑で逮捕し、取り調べのために首都ジャカルタに移送した。
KPKによると総額で少なくとも約10億ルピア(6万440ドル)をインフラ開発などに絡む賄賂として受け取り、その多くを海外のカジノで散財していたという。
支持者が警察と衝突、市街戦のような状況に
インドネシア各メディアの報道によると、ルーカス知事は10日に州都ジャヤプラ市内のレストランで食事中に複数のKPK職員によって逮捕され、地元の機動警察本部に連行された。
ルーカス知事逮捕の情報が市内などに伝わると知事の支持者らが機動警察本部前に押し寄せて抗議運動を繰り広げた。
支持者らは警察本部と警戒に当たる警察官に投石をはじめ、警察側は催涙ガス弾で鎮圧に乗り出し、19人が逮捕されたが支持者らの抗議運動は解散に追い込まれたという。またセンタニ空港付近でも支持者と警官隊の衝突があり、警察側が発砲して支持者1人が死亡したと情報もある。
その後ルーカス知事は取り調べのためにセンタニ空港から空路ジャカルタに移送され、中央ジャカルタのガットト・スブロト陸軍中央病院で神経内科と心臓病科の診察を受けた。KPKによると診察の結果ルーカス知事の健康状態に特段の異常は認められなかったという。
ルーカス知事の汚職体質は以前から指摘されていたが、熱狂的な支持者の反発を恐れてKPKは慎重に捜査を進め、2022年9月に収賄容疑者として指名していた。
しかしルーカス知事は健康状態を理由に召喚に応じず捜査の手から逃れるなどしていたが、KPKは知事の健康状態にはなんら異常は認められないとして今回逮捕に踏み切った。
公共事業に絡み多額の収賄
KPKによると直接の逮捕容疑は2022年9月にパプア州東部でのインフラ開発プロジェクトに関連して民間団体から10億ルピアの賄賂を受け取ったこととしている。
2013年に就任したルーカス州知事に関しては以前から収賄の噂があり、KPKは早くから目をつけていたという。就任以来の収賄額は累計で5600億ルピア(約4億7700万円)にも上るとの試算もある。