日本のフィギュア界は全カテゴリーで「かつてない黄金期」を迎えている(茜灯里)
アイスダンス(1枠):「かなだい」と「小松原夫妻」の一騎打ち
世界選手権の代表争いは、昨年の全日本選手権で北京五輪代表争いをした村元・髙橋組と小松原美里・小松原尊組の一騎打ちです。今年はRDを終えて、村元・髙橋組が77.70点で、69.96点の小松原組をリードしています。
村元・髙橋組は両者がシングル選手としても活躍していたことが強みです。髙橋選手は日本男子で初めて世界選手権で優勝し、オリンピックでも銅メダルを獲得した、フィギュアの日本男子ブームの立役者です。シングルの時からスケーティング、とりわけステップワークが巧みな選手として知られていました。
村元選手はシングル時代から表現力に定評があり、全日本選手権で、最終グループ(ショートを終えて上位6名)に入ったこともあります。前のパートナーの故クリス・リード氏と平昌五輪に出場した経験もあります。
村元・髙橋組はカップルを形成してまだ3年ですが、前出にもあるように日本人として初めてISU公認試合で優勝しました。仮に世界選手権に出場できれば、10位以内に入って日本のアイスダンスの枠を1から2に増やす可能性も期待できます。
4連覇中の小松原組は、夫の尊氏の国籍変更を乗り越えたり、昨年の全日本選手権でベスト・パフォーマンスを成し遂げて五輪切符を手に入れたりした心の強さが武器です。夫婦ならではの信頼感が伝わるリフトや、息の合った演技は見どころがあります。フリーダンスでは緊張を力に変えて、村元・髙橋組と良い勝負を繰り広げるでしょう。
[筆者]
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専攻卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)、獣医師。朝日新聞記者、国際馬術連盟登録獣医師などを経て、現在、大学教員。フィギュアスケートは毎年10試合ほど現地観戦し、採点法などについて学会発表多数。第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。デビュー作『馬疫』(光文社)を2021年2月に上梓。
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