奨学金制度は「教育の機会均等」の実現には寄与している
これは大学生の給付奨学金利用率だが、各県の所得水準と相関しているように見える。横軸に父親年代の年収中央値、縦軸に大学生の給付奨学金利用率をとった座標上に、47都道府県を配置すると<図2>のようになる。
ご覧のように右下がりの傾向がみられる。家庭の年収が低い県ほど、大学生の給付奨学金利用率は高い。上述のように給付奨学金の利用資格は年収が460万円までの家庭だが、こういう家庭は地方で多いので当然と言えばそうだ。この制度がなかったら、大学進学率の地域格差は現状よりもっと酷いものになっているに違いない。
最近いろいろ叩かれることの多い奨学金だが、教育の機会均等に寄与しているのは確かだ。問題なのは貸与型が主流であることで、給付型の枠は多くない。2021年度の大学生の利用者数でみると、給付型が23万2000人、無利子貸与型が34万人、有利子貸与型が51万8000人という具合だ。この構造は変えられねばならない。
<資料:日本学生支援機構『学生生活調査』(2020年度)、
日本学生支援機構「奨学金に関する情報提供」、
総務省『就業構造基本調査』(2017年)>