ブラジル、銃規制強化に「暗雲」 暴力で抵抗するボルソナロ支持者たち
ボルソナロ氏は選挙前、選挙において想定される不正行為に備えた保険として武装するよう支持者に呼びかけた。同氏がまだ敗北を認めず、銃保有を政治的に利用していることが情勢の緊迫につながっている。同氏支持者のグループは軍基地周辺でキャンプを張り、選挙結果を覆すよう将兵らに求めている。
12日、ボルソナロ氏の支持者らが首都ブラジリアの連邦警察本部への侵入を試みて治安部隊と衝突し、車両に火を放った。最高裁判所が、「(ルラ氏の)当選認定を阻止するために武装勢力を集めた」とされる先住民指導者の逮捕状を出したことを受けた動きである。
選挙結果を覆すために銃を取ることを呼びかけるボルソナロ氏支持者は、この容疑者だけではない。
先月行われた抗議行動の映像の中で、ビジネスマンのミルトン・ボールディン氏は、CACライセンス所持者に対し、ルラ氏の当選認定に抗議するためブラジリアに集結せよと呼びかけた。「ここに来て姿を見せよう」と同氏は述べ、黄色と緑のブラジル国旗が「最終的に赤くなるとしても、それは私の血に染まるのだ」と続けた。
ボールディン氏は反民主主義的な言動の容疑で先週逮捕されたが、コメントを控えるとしている。
ロイターがすでに報じたように、合法的に所持されていた銃器が最終的にブラジルで最も暴力的な犯罪組織の手に渡る例は増えている。連邦警察関係者によれば、こうしたトレンドは加速する一方だという。
11月8日、連邦警察はコカイン密輸、マネーロンダリング(資金洗浄)、武器取引が疑われる組織を捜索した。逮捕者110人のうち、30人はCACライセンスを所持していた。公式発表されていない捜査結果に触れるため、匿名を条件に2人の警察官がロイターに語った。
ホワイトカラーによる暴力
ジェフェルソン事件の舞台は、リオデジャネイロの北方140キロメートルにあるコメンダドール・レビー・ガスパリアン市。クラウディオ・マンナリノ市長は、筋金入りの犯罪者ではないジェフェルソン氏の例は、ボルソナロ氏の主張や銃規制緩和が暴力犯罪につながる様子を如実に示している、と語る。
10月23日の正午頃、自宅でコーヒーを飲んでいたマンナリノ市長は、花火のような音を耳にした。その後まもなく、近所に住むジェフェルソン氏が連邦警察に発砲したことを告げる複数のメッセージを受信した。
ジェフェルソン氏は昨年、民主的制度を脅かした罪で投獄された。1月、がん治療中であることを理由に自宅軟禁となったが、ソーシャルメディアへの投稿は禁止された。
10月21日、ジェフェルソン氏の娘が自身のアカウントでツイッターに投稿した動画で、ジェフェルソン氏はカルメン・ルチア最高裁判事を「売春婦」などの言葉で侮辱していた。
2日後、自宅軟禁の条件に違反したジェフェルソン氏を拘束するため、連邦警察官4人が同氏の自宅に向かった。
彼らを出迎えたのはジェフェルソン氏の銃弾だった。
投降した後、ジェフェルソン氏は負傷した警察官に謝罪した。「悪意があったわけではない」と声明で釈明した。
だが、連邦検察は意に介さなかった。連邦検察は先週、殺人未遂や銃器不法所持など4件の容疑でジェフェルソン氏を起訴した。
ジェフェルソン氏の弁護士であるクニャ氏は、昨年の収監やその後の逮捕令状が違法だとし、ジェフェルソン氏が無罪だと主張している。
クニャ氏は警察について、「違法な逮捕令状を執行した彼らの方が犯罪者となった」と述べている。
(Gabriel Stargardter記者、翻訳:エァクレーレン)