暗号資産の「寵児」逮捕は口封じだった?陰で胸を撫で下ろした人々
Sam Bankman-Fried's Arrest May Have Blocked Incriminating FTX Testimony
ウィスコンシン大学のイオン・マイン准教授もこれに同意する。容疑者が犯罪人引き渡し条約のない国への逃亡を計画している、あるいは証拠隠滅の懸念があるなら、逮捕に踏み切ることもあると本誌に語った。
そうでもないのに当局がこれほど急いで逮捕に踏み切ったことは、複雑なホワイトカラー詐欺事件としては異例と思えるが、起訴状の内容からすれば、捜査は「かなり長い間」続いてきた可能性も高いとマコーリフは言う。
「連邦政府による捜査は、FTXが現実に破綻するよりずっと前から行われていたのかもしれない」と彼は述べた。
バンクマン・フリードが自社の失敗について議会で証言するという決断は、多くの人を驚かせた。特に、経営破綻後にFTXから距離を置こうと躍起になっていた暗号通貨の擁護者たちは仰天した。
逮捕に先立ち、シンシア・ルンミス上院議員(共和党)は、自分が彼の弁護士であったら、間違いなくバンクマン・フリードに証言しないように勧めると語った。「彼が委員会に出席するなんて、とんでもないことだ。それは大きな間違いだと思う」と、彼女はニュースサイト「セマフォー」のジョセフ・ゼバロス・ロイグ記者に語った。
適切な規制への一歩
ゼバロス・ロイグは、「暗号資産業界全体にさらなる汚名を着せることになりそうな破滅的な公聴会」を覚悟していた仮想通貨業界の幹部と投資家にとって、バンクマン・フリードの逮捕は、まさに天の恵みだったと報じた。
ブロックチェーン開発会社ソリダリティのアレックス・マカリーCEOは「バンクマン・フリードの逮捕は、暗号資産業界と世界中にいるFTXの顧客にとって前向きな一歩だ」と述べた。「彼の逮捕は、FTXの被害者に対する説明責任と正義に向けた正しい方向への一歩であり、これが集中型取引所に対する適切な規制を当局に促すことを願っている」
FTXの創業者は結局、公聴会に姿を現さなかったが、アメリカン大学のジェームズ・サーバー教授(行政学)は、13日の公聴会は暗号通貨分野の規制にとって依然として重要だと述べた。
サーバーは本誌の取材に対し、多くの議員が暗号資産規制のための法案提出に積極的に取り組んでいることから、「FTXの破綻は、明確なルールと米政府の直接的な監視がない場合に、顧客の資金に何が起こりうるかを示す好例の1つになった」と語った。
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