最新記事

インタビュー

太田光が「統一教会信者にも言葉が届けばいい」と語る理由

2022年12月13日(火)17時09分
石戸 諭(ノンフィクションライター)

米本は旧統一教会の脱会支援活動に対して、批判的なスタンスの著作を著していた。カルト宗教に反対する者もまた、強引な説得をしているというのが彼の主張の要点であり、連絡会の弁護士に対して公然と疑義を唱えてきた。そのスタンスをめぐり批判の多い人物でもあるが、山上容疑者は米本のブログにたびたびコメントを書き込んでいた。

どんな人々にも言葉が届けばいい

太田:ここは言葉の選び方をもっと慎重にするべきだった。「拉致」という言葉は、脱カルト支援をしている側の人々が現在「保護」であるとしている主張している部分である以上、あの場で口にするべきではなかったと思っている。でも、山上容疑者が最後に頼った人物である米本さんの本を読むことは、たとえその主張や取材方法が批判されていたとしても、俺としては当然のことだったと思う。どちら側の主張も知りたいというのが、本当の所だから。

彼は教会側の主張に一定の理解を示し、取材を元にかつての脱会支援に疑義を唱え「拉致・監禁」という言葉を用いた。しかし今現在そのような脱会方法が行われてないというのが支援者側の主張であり、米本さんが言う「拉致・監禁」はなく「保護・説得」であるということなのだから、片方の側のバイアスがかかった言葉を使うべきではないという指摘は納得出来る。

その後、俺の発言は旧統一教会の信者の間で、聞くべきものとされたらしい。従って、旧統一教会を利するような発言をするからダメだという批判も受けた。だけど、この批判については、あまり納得していない。確かに言葉の選び方は悪かったけど、俺は自分の言葉が旧統一教会の信者に届くのならば、それでいいと思っている。どんな人々にも言葉が届けばいい。そこを諦めたくはないよね(後編へ続く)。

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中