「何でも燃やせ!」 燃料不足のポーランド、大気汚染が深刻に
子どもの呼吸器系疾患
医師によると、こうした政策転換は既に大気汚染の深刻な地域で呼吸器系の問題を引き起こしている。
チェコとの国境に近いリブニクの州専門病院では気温の下がった11月、子どもの入院が急増したと小児科病棟長のカタルジーナ・ムシオール氏は語った。
エアリーのデータを見ると、氷点下3度になった11月20日夜には、PM2.5の平均濃度が基準の6倍に達している。
「この結果、病棟は子供たちでいっぱいになり、そのうちの90%はスモッグが引き金となって息切れ、呼吸同期ウイルス(RSV)、ぜんそくの悪化、気管支炎、肺炎などの症状が出ていた。中には、生後数週間の赤ちゃんが呼吸困難やRSVを患っているケースもある」とムシオール氏は話す。
「基準を超えることが常態化している。ここ数日はスモッグが激しく、大勢の子どもたちが集中治療を必要としている」
チェコまで調達に
欧州連合(EU)で家庭が暖房に使う石炭の約8割は、ポーランドで消費されている。4月にEU加盟国として初めてロシア産石炭の購入を停止した直後から、ポーランドでは石炭が不足し始めた。
石炭価格は4倍に跳ね上がり、国営の販売会社は配給を開始。国民は冬用の褐炭を確保しようと、夏の間にチェコに車を走らせて同国の卸売業者から購入し始めた。
石炭に手が届かない一部の家庭は、ごみを燃やすという手段に訴えている。クレチュコフスキ教授によると、ごみの方が発がん性の高い毒素を多く含み、地元当局はごみの燃焼をやめさせようと奮闘している。
10月には、ポーランド北部の住民が家具から出たごみを燃やしたとして地元警察から罰金を科せられたが拒否。この住民は、「法と正義」のカチンスキ党首が何でも燃やしていいと言ったではないか、と主張している。裁判は係争中だ。
(Marek Strzelecki記者、 Kuba Stezycki記者)
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