「アメリカの傭兵」──ワグネルが名指しで命を付け狙う精鋭グループ
Notorious Wagner Group targeting volunteers in Ukraine, U.S. trainer says
住民の避難を助ける THE MOZART GROUP
ミルバーンによれば、モーツァルトは5月以降、危険な地域から住民600〜700人を避難させたという。
戦闘地域に取り残されたからといって、誰もが進んで脱出を望むわけではない。「自宅を離れてもらうのに、難しい交渉が必要になることも多い」とミルバーンは言う。
「ここの住民はウクライナの中でどこか疎外感を感じている人々だが、今ではロシアを憎んでいる」と彼は言う。「ロシア軍におびえている。だが、彼らにはどこまでロシア軍が近づいているのかわからないことも多い。ロシア軍が1キロ先まで来ていると話をしても、なかなか信じてもらえない。敵がどれほど近くまで来ているか認識せず、ある朝ドアを開けて初めて、自分たちの暮らす町に敵がいることに気づくことも少なくない。それも生きていられたらの話だが」
ただでさえ厳しかった生活環境は冬の到来で悪夢に変わったとミルバーンは言う。「人々は食料も水も暖房もない状態で取り残されている。ありとあらゆる建物のありとあらゆる窓が、誇張ではなくすべて割れている。信じられない話だ」
バフムトは第2次大戦中の空襲で壊滅的な被害を受けたドイツのドレスデンのようだし、周辺の農村部は第1次大戦の激戦地となった西部戦線のイーペル近郊を思わせると彼は言う。「とにかく恐ろしくて悲惨な場所になっている」
ウクライナ当局は自軍の死傷者数を明らかにしていないが、バフムト周辺でかなりの犠牲を出したと考えられている。
モーツァルトの訓練を受けた部隊でも「非常に多くの犠牲者が出ている」とミルバーンは述べた。「死傷者の割合は70%を超えるといったメディアの数字も誇張ではない」
「非常に高い士気」にも関わらず、ウクライナ軍は「『刷新』つまり新兵をできるだけ早く前線に送り込むという点で深刻な問題を抱えている」と彼は言う。つまり、新兵たちは基本訓練以外の訓練をほとんど受けずに戦闘に放り込まれているということだ。
「われわれのところの新兵の約80%は発砲した経験すらない」とミルバーンは言う。「大変な重責だ」