サッカー強豪国になったオーストラリア、牽引するのは難民とその2世たち
The Game Changers
世論は難民排除を支持
オーストラリア政府は21年にマヌス島の施設を手放すことにしたが、ナウルの施設は引き続き使用している。
何の罪も犯していない難民申請者が劣悪な環境下に置かれ、長期にわたり自由を奪われる──パシフィック・ソリューションは非人道的な政策として国際社会の批判を浴びているが、オーストラリアの有権者にはおおむね好評だ。
マヌス島とナウルだけでなく、オーストラリア国内の収容施設も人道的とは言い難い。難民申請手続きには平均761日かかるが、その間申請者は刑務所のような施設に閉じ込められる。今年5月末に発足した労働党の新政権を率いるアンソニー・アルバジーニー首相は代替策を検討する意向を明らかにした。
代表チームの3選手、マビル、デン、クオルはアフリカ系難民の希望の星だ。
90年代半ばから推定3万人の南スーダン人がオーストラリアに移住し、その中から各種競技のトップ選手やファッションモデル、ミュージシャン、著名な弁護士などが生まれている。一方でアフリカ系移民が社会の片隅に追いやられ、故なく犯罪者扱いされ、差別されてきたのも事実だ。
メルボルンのチームで「プレーしていた頃は、店に入ると万引犯と思われたのか、警備員ににらまれたり、付きまとわれたりしたものだ」と、デンはオーストラリアのメディアに語っている。
「何度もそういう目に遭って、無視することにした......考えるのも嫌だ」