フォロワーが1日で100倍に増える注目のなか、私はマスクに嫌われ、ツイッターをクビになった
'Elon Musk Fired Me in a Tweet'
イーロン・マスクは千里眼の持ち主?(写真は11月14日、インドネシアのバリで開かれたB20サミットに登場したマスク)Willy Kurniawan-REUTERS
<「くそっ」と私は思った。マスクには1億2000万人近いツイッターフォロワーがいる。彼への返信ならともかく、引用ツイートまで見るとは思ってもみなかった>
私はツイッターで8年間、ソフトウエア技術者として働いた。辞めるまでの6年間は、アンドロイド用のツイッターアプリの開発部門で、ツイート班の技術リーダーを務めていた。
技術者へのフォローが行き届いた職場で、みんな協力的で、製品に熱い情熱を持っていた。ツイッターが好きだからそこで働いていたのだと思う。私自身は入社時に初めてアカウントを作ったが、入社時からツイッターのヘビーユーザーという人も多かった。
キャリア面でも支援を受けているという実感があり、せっせと働けばその分報われるという思いがあった。技術者がすべてのプログラムを書き、技術管理職は部下のキャリアアップの後押しと、チーム内の意思疎通をよくすることに力を注いでいた。かつてのツイッターは今よりも、メンターの働きに重きを置いていた。「昇進したい」と言えば、管理職はキャリアアップの機会を探す手伝いをしてくれた。
(テスラCEOのイーロン・)マスクがツイッターを買収しようとしているという記事を読んだ時は、当面様子見だなと思った。ひそかに喜んでいる同僚もいたけれど、多くはとても不安がっていた。凍結アカウントの復活とか、今後の経営方針とか、どういったコンテンツを認めたいかといった点についての彼のツイートに不安を感じた。
まだツイッター社員だった2020年の筆者 ERIC FROHNHOEFER
タイムラインを流れる同僚たちの別れの挨拶
私が最も懸念していたのはワークライフバランスだ。テクノロジー業界は狭い世界で、私はマスクが経営するスペースXの複数の従業員から、(猛烈に働くことを求められる)社風のせいで2年で燃え尽きたという話を聞いていた。そんなのはごめんだ。
私はリモートで働いているので、職場の噂話は以前ほど耳に入らない。マスクによる買収が決まったのを知ったのも、ニューヨーク・タイムズの記事でだった。それから数日、イーロンからもその関係者からもメール1本来なかった。11月3日になってようやく、かなりの数の従業員のレイオフが予定されていて、翌日の午前9時までに対象者には連絡が来るというメールを受け取った。
メールを読んで私は、タイミングが悪いなと思った。ホリデーシーズンを前に、企業の採用も経済も動きが鈍い時期だ。だがなるようにしかならない。私はみんなに、何とかなるさと話した。
だがそれからすぐに、同僚たちの別れの挨拶が飛び交うようになった。次から次へと「やあ、クビになったよ」というツイートが流れるのだ。同僚と明日も一緒に働けるのかどうかを、私たちはこんな形で知ったわけだ。
悲しかった。長く一緒にやってきた人もいたし、彼らと一緒に働くのが楽しかった。こんなにたくさんの人々が去って行くのを見るのはショックだった。