「火星の薄い大気でも、風力発電は可能だ!」太陽光発電との組み合わせで6人活動できる
これまで難しかったエリアも探査可能に
これまでのところ、来るべき火星有人探査に向け、人類の活動に適した地点が50ヶ所ほど存在すると考えられてきた。今回の研究では、こうした地点のうち40ヶ所において、風力と太陽光発電の組み合わせが有効であると判明した。
シミュレーションによると火星の風力発電は、夜間が出力のピークとなる。このことから太陽光と相互に補うことができ、極めて相性が良いようだ。設置場所の候補としては、非常に効率の良い13の地点が特定された。火星のクレーター周辺など、強い風の発生する斜面において効果が期待できるという。
これまでミッションが不可能と考えられてきた地点においても、探査が可能となる可能性があるようだ。ハートウィック博士は宇宙ポータルサイトのスペース.comに対し、「科学的に非常に興味深いがエネルギー源が限定的であるとして見過ごされてきたエリアにおいても、タービンが導入されれば人類のミッションを行うことができるかもしれないことを示唆しています」と語っている。
米ワシントン・ポスト紙は研究を受け、「いつの日か人類がこの惑星を探査する日に向け、また一歩前進があった」と報じている。
砂嵐に強い風力発電 太陽光との冗長化にも意義
さらに博士たちは、居住区画周辺が地域的な砂嵐に見舞われた際には、風力発電が太陽光発電の減少分を補うと期待されると指摘している。
折しもNASAは12月21日、火星探査機インサイトの活動終了を発表した。活動開始から4年間のあいだに太陽光パネルに砂埃が蓄積し、観測に必要な電力を維持できなくなったためだ。
有人探査ミッションの際には太陽光に加えて風力発電を設けることで、電力源の冗長化という意味でも有益となりそうだ。