南シナ海でわが物顔の中国を警戒、米比が防衛協力拡大で合意
Philippines reports fresh clash with China as U.S. reaffirms defense pledge
合同訓練のため米沿岸警備隊を歓迎するフィリピンの沿岸警備隊員(8月30日) Eloisa Lopez-REUTERS
<フィリピンが実効支配するパグアサ島の近くで、フィリピン海軍が海面に漂う不審な金属片を回収したが、中国海警局の船に強奪された。翌日、ハリス米副大統領が到着した>
11月20日、フィリピンと中国が領有権を争っている南シナ海の島の沖合で、両国の軍による小競り合いが勃発した。翌21日には、カマラ・ハリス米副大統領が、アジアで最も古いアメリカの同盟国であるフィリピンを訪問し、防衛協力を拡大することで合意した。
フィリピン海軍のアルベルト・カルロス中将は、中国軍との一件について声明を発表。スプラトリー(南沙)諸島のうち、フィリピンが実効支配するパグアサ島の近くで、フィリピン海軍が海面に漂う不審な金属片を回収して持ち帰ろうとしたところ、中国海警局の船がそれを妨害して浮遊物を強奪したと主張した。
カルロスによれば、フィリピン海軍は20日、パグアサ島(中国名は中業島)から約800メートル沖合の海面に浮遊物があるのを発見。回収するためにゴムボートにロープでくくりつけて、島まで曳航していた。
すると「5203」の番号が記された中国海警局の船がゴムボートに接近してきて、「2回にわたって進路を妨害」。中国側もゴムボートを出してフィリピン側のボートに近づくと、「ロープを切って強引に浮遊物を奪い去った」。カルロスによれば、この件で怪我人は報告されていない。
浮遊物は中国が発射したロケットの残骸か
フィリピン軍西部司令部のシェリル・ティンドン報道官は、海面に浮遊していた金属片について、最近フィリピンの領海で相次いで発見された中国製ロケットの残骸によく似ていると述べた。
ホーチミン(ベトナム)在住の海事評論家であるズアン・ダンはツイッターへの投稿で、公開されている船舶追跡データから、中国海警局の船舶「5203」および数多くの「中国海上民兵の船舶」が20日、パグアサ島の近くを航行していたことが示されていると述べた。
中国は南シナ海で、いわゆる「九段線」内の全ての島や礁、砂堆の領有権を主張している。オランダのハーグにある国際仲裁裁判所は2016年、この九段線には法的根拠がなく無効だと認定した。フィリピンと中国が争ったこの裁判の判決を受けて、アメリカをはじめとする複数の国がフィリピンへの支持を表明したが、中国は判決を全面的に拒否した。