米中首脳が最も議論すべきは台湾でもロシアでもなくゼロコロナだった
Biden, Xi Ignore One of Biggest Threats to U.S. Economy
対面では初めての首脳会談で、中国はコロナを何とかしろとバイデンは言うはずだったが G20Kevin Lamarque-REUTERS
<世界が普段の生活に戻りつつあるなか、中国はゼロコロナ政策から脱しきれず、世界経済の足を大きく引っ張っている。習近平は効かない国産ワクチンとメンツを捨てて、アメリカのワクチンを使えと言うべきだった>
アメリカのジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席が初めて対面会談し、世界で最も重要な二国間関係が日増しに敵対的になっている現状を改善することを約束した。
2人は台湾を巡る緊張やウクライナ戦争、気候変動について話し合ったが、新型コロナウイルス感染症についての言及はなかった。中国のゼロコロナ政策が、世界経済に深刻な打撃を与え続けているにもかかわらずだ。
バイデンと習は11月14日、インドネシアのバリ島で開催されているG20サミットの会場で、3時間にわたって会談した。新型コロナウイルスの流行を理由に、中国政府が厳格なロックダウンと渡航制限を行ったため、これまでは習自身も海外渡航を厳しく制限してきた。
世界の多くがこれまでの生活を取り戻しつつあるなか、中国政府は依然として厳格な感染対策を続けている。その結果、世界経済の成長は脅かされ、サプライチェーンにも負担がかかっている。11月の第2週にはようやく一部の感染対策が緩和されたが、その後再び感染者が増加したため、再び規制が強化されるのではないかという懸念が広がっている。
中国は「不確実性の源」
ジャネット・イエレン米財務長官は14日、中国に対し、より効果的なワクチンプログラムを採用するよう要請した。米国製のmRNAワクチンを受け入れれば、中国は感染拡大と景気後退を回避でき、世界中に影響が波及するのを防ぐことができるかもしれないためだ。中国はこれまで、国産ワクチンでは効果が弱いことを知りつつ、外国製ワクチンの輸入を拒んできた。
イエレンはG20サミットの会場で、報道陣に対し、米国は中国に「協力する用意がある」としたうえで、「中国自身のためにも、全世界のためにも、パンデミックに効果的に対処できるようになってほしい」と言った。
米連邦議会予算局の元局長で、アメリカン・アクション・ネットワークを率いる経済学者ダグ・ホルツ=イーキンは本誌に対し、中国がより効果的なワクチン施策を展開せず、大規模な検疫やロックダウンに頼っていることを考えると、イエレンの懸念は見当違いではないと言う。
ホルツ=イーキンによれば、新型コロナウイルスに対する中国のアプローチは、「巨大な不確実性の源」になっているという。自国の経済を減速させ、米国経済も道連れにするだけでなく、サプライチェーンに新たなひずみを生み、生産コストを大幅に上昇させているためだ。