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腸内細菌「腸内細菌が関節リウマチに関与している?」...原因解明への重要な手がかりとなる研究結果
関節リウマチの原因については未だ完全に解明されていない...... m-gucci-iStock
<関節リウマチの原因については未だ完全に解明されていない。米コロラド大学は新たに見つかった腸内細菌が関節リウマチに関与しているおそれがあるとの研究を発表した......>
関節リウマチ(RA)は体の免疫系が自分の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつだ。抗体と呼ばれるタンパク質の一種が関節を攻撃することによって関節に炎症が起き、腫れや痛みが生じ、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こすおそれもある。しかし、その原因については未だ完全に解明されていない。
関節リウマチの人の腸内にのみ存在する細菌種が見つかった
米コロラド大学の研究チームは、2022年10月26日に医学雑誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」で研究論文を発表し、腸内細菌が関節リウマチの原因解明につながる重要な手がかりであることを示した。
研究チームは「腸内に生息する微生物叢内の細菌が関節リウマチを引き起こす免疫応答を活性化しているのではないか」との仮説を立てた。これらの微生物叢は通常、関節リウマチを引き起こす抗体と同じ部位に生息するため、微生物叢内の細菌を攻撃するために産生された抗体が腸を超えて関節を攻撃し、関節リウマチを引き起こす可能性があると考えたのだ。
この仮説を検証するため、まず、関節リウマチの発症リスクがある人の糞便中の細菌を抗体にさらし、抗体に反応して結合する細菌種だけを単離した。その結果、関節リウマチと診断された人または関節リウマチを引き起こす抗体を産生する人のうち約20%の腸内で、これまで確認されていない細菌種が見つかった。研究チームはこの細菌種を「サブドリグラヌラム・ディドレスジ」と名付けている。
この細菌種は健康な人の糞便からは見つかっておらず、関節リウマチの人の腸内にのみ存在する。このことから、研究チームでは「この細菌種が関節リウマチの発症に関与しているのではないか」とみている。
この細菌種に対して免疫応答を起こすのかは不明
なぜ関節リウマチの人がこの細菌種に対して免疫応答を起こすのかは不明だ。腸内では多くの免疫応答が起こるが、これらは通常、自己完結しており、他の部位に広がることはない。研究チームでは「この細菌種に対する腸の免疫応答が特に強くなると、腸を超えて関節に広がるのではないか」と考察している。マウスにこの細菌種を経口投与する実験では、投与後14日以内に関節の腫れがみられ、関節を攻撃する抗体が産生され始めた。
研究チームでは今後、この細菌種が一般の人々の腸内にどれくらい存在するのかを調べるとともに、腸内にこの細菌種が存在することが関節リウマチの発症につながるのかどうかを詳しく検証する方針だ。