最新記事

中間選挙

また不正?投票機不具合で有権者ピリピリ、2024年大統領選まで尾を引きそうな多発ミス

'Stay in Line' Trends as Voters Face Technical Issues Nationwide

2022年11月9日(水)17時03分
シーラ・リー・バートフ

中間選挙の日、投票所に並ぶ有権者(11月8日、ノースカロライナ州ダーラム) Jonathan Drake-REUTERS

<中間選挙の投票日に全米各地で技術的な問題による投票トラブルが発生。長時間待たされた有権者の不満が不正選挙の疑惑を生み出し、次期大統領選にも禍根を残すことになりそうだ>

11月8日の中間選挙を迎えて、有権者の間にはピリピリしたムードが漂っている。全米の投票所で技術的な問題が発生しているからだ。

アリゾナ、ニュージャージー、テキサスなどの州で投票システムの技術的な問題が次々に報告され、「列に並んで」という訴えがツイッターのトレンドになった。地元の選挙管理当局は問題ないと宣言しているものの、投票のために長い列に並ぶ有権者が、投票所の係員にくってかかる様子が動画で拡散された。

アリゾナ州マリコパ郡の挙管理局によると、8日の朝、郡内の投票所の約2割で票の集計マシンに問題が発生した。当局は技術者を呼んで問題を解決したと発表し、投票箱に投票用紙を入れればきちんと集計されると付け加えた。

「こういうことは、アリゾナ州の大多数の郡で、選挙当日にいつも起きている」と、記録係のスティーブン・リッチャーは言った。

それにもかかわらず、マリコパ郡の有権者は不安をソーシャルメディアにぶつけた。アリゾナ州の共和党全国委員タイラー・ボウヤーがツイートした動画には、有権者らが技術的なミスを説明する投票係と口論している様子が映っていた。係員は「誰も不正なんかしていませんよ」と言い、抗議する人々を安心させようとしていた。

「投票日に不正が行われることなど、もちろんありえない」とボウヤーは言う。

並んでいた列を離れて係員に訴えにきた有権者もいた。「投票用紙がちゃんと箱に入るのか、信用できない。紙が箱のなかに落ちないかもしれない」。

【動画】これは選挙不正なのか?投票トラブルで待たされる有権者とトランプ

意図的な妨害の証拠はなし

アリゾナ州知事選で民主党のケイティ・ホッブス候補と接戦を繰り広げている共和党のカリ・レーク候補は、この動画に対する反応をツイート。「こんな状態だからこそ、私たちは選挙を改革しなければならない」と、投稿した。

サイバーセキュリティ企業コーデッド・フューチャーの脅威リサーチ部門インシクト・グループのアナリストは、アリゾナ州の選挙が意図的に妨害された証拠はない、と本誌に語った。

「マリコパ郡の様子を見た限りでは、今のところ、投票の集計マシンの問題が、誰かの作為によるものだという気配はない」と同社は述べた。

ニュージャージー州のマーサー郡では投票日当日にシステム障害が発生した。同郡はウェブサイトで「郡全体のシステム障害のため、現在、郡内のすべての投票機が停止している」と警告した。そのうえで「それでも有権者はそれぞれの地区の投票所に足を運び、通常の投票用紙を投票機の緊急用スロットに入れることで投票ができる」と説明している。

テキサス州の有権者も、同様の技術的な問題を経験した。同州のベル郡では、職員から投票チェックイン用の機器に問題があると報告があったため、選挙管理当局は、事態を収拾するために投票時間を1時間延長するよう要請していると発表した。ハリス郡でも機器の不具合があり、同郡の選挙管理者クリフォード・テイタムは午前中の投票が遅れたが、その後問題は解決されたとしたと述べ、同郡の一部投票所も時間を延長する可能性があると付け加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

年度内に予算成立、折衷案で暫定案回避 石破首相「熟

ビジネス

ファーウェイ、24年純利益は28%減 売上高は5年

ビジネス

フジHD、中居氏巡る第三者委が報告書 「業務の延長

ビジネス

日銀、10―25年の国債買い入れ初減額 「買入比率
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中