全米が目撃した未確認飛行物体の正体は
Weird Lights Keep Appearing in the Sky Across the U.S.—Here's Why
ウクライナの旗と、ウクライナ軍にネットアクセスを提供してきたスターリンクのロゴ REUTERS/Dado Ruvic/Illustration
<UFOのように見えた美しいその光は、人類のフロンティア発だった>
全米各地の空で、霧のような奇妙な光が目撃されており、住民たちはその正体を知りたがっている。
米国のあちこちから、よく似た光を撮影した動画がオンラインに投稿されている。10月31日には、「u/DecimusMeridius007」がカリフォルニア州北部で目撃した光の動画をレディットに、10月28日には、「@GardnerGoodyear」がアリゾナ州で撮影した空の動画をツイッターに投稿した。
@GardnerGoodyearは本誌の取材に対し、「アリゾナ州グッドイヤーで見た光だ。自宅の庭から見えたが、最高にカッコよかった!」と話した。
この光は実は、以前から何度も目撃されている。いつも、スペースXのロケットが打ち上げられた直後のことだ。スペースXのイーロン・マスクCEOは、カリフォルニア州ロサンゼルスの空を横切る光の写真をツイッターに投稿し、自社のロケットの光だと明言している。
「最初はゆっくり動く彗星(すいせい)かと思ったが、後でスペースXのロケットだとわかった」と、@GardnerGoodyearは言う。
53基の衛星を打ち上げ
SpaceXのロケット「ファルコン」は、この種のロケットとしては初めて再利用可能なロケットだ。ロケットの第1段ブースターが、燃料を使い切った後に再着陸し、再利用できるように設計されている。
スペースXのウェブサイトには、「再利用可能なので、スペースXはロケットの最も高価な部分を打ち上げのたびに新しく作り直す必要がなく、宇宙にアクセスするコストを大幅に引き下げることができている」と書かれている。
今回、レディットやツイッターに投稿された光は、10月27日にカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた「ファルコン9」ロケットとみられる。地球を周回する53基のブロードバンド衛星「スターリンク」を軌道に乗せるミッションだ。
ロケットが上昇して大気圏から出るとき、その排気プルームが何キロにも延びて見えることがある。おそらくそれが、カリフォルニア州とアリゾナ州の両方で目撃されたのだろう。スペースXによれば、ファルコン9の第1段ブースターにとって、今回は8度目の打ち上げと着陸だ。このブースターは、二重小惑星ディディモスとディモルフォスを目指して2021年11月に打ち上げられたNASAの「DART」ミッションにも使用されている。