習近平に仕える6人の「無力な男たち」...それでも、彼らであるべき理由があった
Xi’s Men
■丁薛祥(ティン・シュエシアン、序列6位)
いわば習の首席補佐官。2007年から敏腕の行政官として習のために働き、ずっと緊密な間柄を保ってきた。頭脳明晰、極めて有能だが、個人的なコネや地盤はないので、習にとっては安心できる同志だ。
まだ60歳で6人中の最若手。主として中央官庁で補佐官的な職務に徹してきた生粋の行政官でもある。だから生き残るすべにたけており、自ら大きな野心を抱きそうなタイプには見えない。ただし油断は禁物。こういうタイプこそ、予想に反して権力の頂点へ駆け上る可能性がある。
■李希(リー・シー、序列7位)
趙楽際の後継として中央規律検査委員会のトップに就いた。やはり昔から習と連携する仲で、一緒に写真に納まることも多い。かつて習の父親に近い関係者の下で働いたのが2人の縁の始まりとされる。
広東省をはじめ、経済的に重要な地方の党委書記を務め、実務的な手腕を発揮してきた。あくまでも習近平の意向を優先しながら、現場では停滞する経済の改革を進めるという難しい役目を、この男なら引き受けられる。いずれは首相職を継ぐ可能性もある。
つまり、新しい常務委員の顔触れを見るに、誰一人として習近平の後継にふさわしい人物はいない。だが冷酷なる自然の摂理は政治家どもの都合など気にかけない。
習はまだ69歳だが、長年にわたる政治家生活(往々にして豪勢な飲食の機会を伴う)で体を痛めつけてきた。だから健康不安はある。12年に何週間も姿を見せなかったときは、痛風が悪化したのではという噂が飛び交ったものだ。
もしも習が急に死んだらどうなるか。明確なナンバー2がいない以上、後継争いは熾烈になる。そして真の後継者は、現在の党指導部以外のところから現れるのではないか。これは筆者の推測にすぎないが、習が去った場合、短期的には集団指導体制が復活し、いったんは独裁色が弱まる。ただし結局は、強力な地縁血縁に恵まれたプリンス(太子)が新たに出現するだろう。
ちなみに習は慎重な男だから、そうしたプリンス候補を権力の中枢から遠ざけてきた。現に彼らの多くは政治に首を突っ込まず、民間部門でキャリアを築いている。全ては習の計算どおり、なのかもしれない。
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