最新記事
ヘルス

長生きするには「冬の暖房費ケチる」はNG 脳科学者が指摘する「脳をボケさせない部屋」とは?

2022年11月6日(日)10時20分
西 剛志(脳科学者) *PRESIDENT Onlineからの転載

Ildar Abulkhanov - iStockphoto


健康で長生きするにはどうすればいいのか。脳科学者の西剛志さんは「脳年齢を若く保つことが重要だ。部屋が寒いと認知症リスクが高くなり、脳の老化が進みやすい。室温は18度以上に保ったほうがいい」という――。

※本稿は、西剛志『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)の一部を再編集したものです。

「何もしていない時間」が健康長寿をもたらす

「毎日たくさんの予定を入れて、忙しくする。充実感もあるし脳にもいいので、いくつになってもその生活をキープしていきたい」

もしあなたがそう思っていたら、少し待ってください。

この考え方、脳にとってよくない部分もあります。スーパーエイジャー(80歳以上になっても新しいことに挑戦し続けて人生を謳歌している脳と体が老化していない人)の生活習慣で多くの人に共通していることのひとつに「リラックスする時間がある」ことが挙げられます。

「ボーッとしている時間があると脳は働かなくなるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実はそれは半分正解で、半分間違いです。

ここでいうリラックス時間とは、好きなことをする、お酒を楽しむ、仕事とは関係ない趣味をする、ボーッと空を見たり、風呂につかったり、好きな音楽にひたったり、カフェでゆっくり本や新聞を読むなどの時間で、大切なのは「心がゆったりしていて、難しいことを考えていない状態」を指します。

要は、「休息していると自分が認識している時間」ですね。

こういう時間をしっかりととることがなぜ必要か、そこには明確な理由があります。それは、ストレスが脳にダメージを与えるからです。ストレスレベルが高いと、認知症のリスクが上がることが、最新の研究で結論づけられました。

リラックスできる時間は、脳のストレスを下げる効果があります。たとえば体の調子が悪いとき、面白いテレビや動画を見たり、音楽を聴いたりすると、気分が楽になって体調がよくなったように感じた経験はないでしょうか?

専門用語では「打ち消し効果」と言って、私たちはマイナスな状態になったとしても、プラスのものに触れることで、ストレスが相殺されるのです。

ボーっとしている時間に脳全体が活性化する

リラックスする時間の中で、何もしていない時間に、実は脳が最も活性化していることがわかっています。これを「デフォルトモードネットワーク」と言います。

デフォルトは英語で「何もしないこと・怠慢」などの意味です。何もしない状態(モード)の脳がネットワークが一番活性化しているという意味の用語です。何もしないときは、脳も何もしていない状態と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。

むしろ逆で、運動をしているときよりも、計算しているときよりも、活性化しています。しかも特定の部分だけではなく、脳全体が活性化しているのです。

たとえば、入浴してボーッとしたり、カフェで何もせず時の流れに身を任せているとき。その瞬間、脳はこれまでの情報を統合しています。

要はごちゃごちゃした状態を整理しているのです。インプットした情報を整理し、自分のものにしていくためには、休息の時間も必要なのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中