最新記事
ヘルス

長生きするには「冬の暖房費ケチる」はNG 脳科学者が指摘する「脳をボケさせない部屋」とは?

2022年11月6日(日)10時20分
西 剛志(脳科学者) *PRESIDENT Onlineからの転載

睡眠中に脳はすごい働きをしているという話を聞いたことがありませんか? これも同じことです。睡眠不足は脳にとっても大敵ですし、若い頃にテストの一夜漬けをしても全く身についていなかったというのも、同じ原理です。

いくら忙しくても、リラックスする時間、休む時間を設けることは脳に必要なことなのです。その時間をつくることで、認知機能が上がります。

ただ、ここはバランスが必要です。ずっとリラックスしたまま、休息したままだとインプットされるものがないので、デフォルトモードネットワークは起きません。認知機能も上がりません。

ですから、毎日やることをちゃんとつくり、その間にリラックス時間をつくる。そのバランスが大切なのです。

趣味が多い人は認知症になりにくい

65歳以上の人の約3割は「趣味の数がゼロ」だそうです。仕事や子育てに奔走していた頃はなかなか趣味の時間をとるのが難しかったという人もいると思いますが、65歳以上になったら趣味を持つことをおすすめします。

趣味は人生を楽しむ要素というだけでなく、「認知症の予防効果」もあるからです。

実は、趣味の数が多い人ほど認知症を発症しにくいというデータがあるのです。男性の場合は、趣味が5つ以上ある人は認知症発症が一番少なく、女性の場合は趣味が4つの人が一番発症が少なくなっています。

趣味が多いと認知症になりにくい理由は、楽しいことに打ち込んでいると「打ち消し」効果でストレスが解消されるからです。ストレスは認知症やうつのリスクを高めることがわかっていますが、趣味に打ち込む人はストレスを感じにくいため、脳が老化しにくいのです。

ある調査によると、生きがいを感じるトップ3は、「趣味に熱中しているとき」「子どもや家族、友人と接しているとき」「美味しいものを食べているとき」だそうです。趣味に打ち込んでいる時間に生きがいを感じる人は世界的にも多く、そのことが脳の認知機能にいい影響を及ぼしています。

また、趣味はひとつよりも2つ3つと数が多い人のほうが認知症の発症が少ないのは、「快感を感じる回数が多いほどストレスが解消される」「社会との接点を趣味でつくっている」「新しいことに挑戦している」などの理由があると考えられます。

周りを見回してみてください。趣味が多い人って、いきいきしている印象がないですか? 一方で、無趣味の人はどうでしょうか。スーパーエイジャーも趣味が多い人ばかりです。

「長生きしたけりゃ、趣味をたくさん持つ」

これも、脳を元気に保つ秘訣(ひけつ)です。

60歳からは犬を飼ったほうがいい

話し相手がいないのは、60歳を超えたらリスクになります。なぜなら、孤独感は認知症の発症に大きく関わっていて、脳の老化を進行させるからです。

と言っても、一人暮らしをしていたり、夫婦関係が冷え切ってしまっていると、なかなか日常の中で人とのつながりを感じるのは難しいかもしれません。そんなときは、ロボットに話しかけるだけでもOKです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中