長生きするには「冬の暖房費ケチる」はNG 脳科学者が指摘する「脳をボケさせない部屋」とは?
でも、ロボットよりもさらに効果が高いのがペットなどの動物に話しかけることです。温かいものに話しかけるほうがロボットよりも幸福度を高く感じるのです。
ペットを飼うと孤独感が減ったり、動物に話しかけることで幸福ホルモン・オキシトシンが出ることがわかっています。また、動物と一緒にいると血圧が下がったり、認知機能の低下を防いでくれるので、孤独感だけでなく老人脳そのものを予防してくれる効果も期待できます。
中でも特に、私たちに恩恵をもたらしてくれるのが、犬です。最新の研究で、犬を飼うと認知症のリスクが減り、さらに介護リスクや死亡リスクまで減ることがわかっています(ちなみにこの効果は猫を飼っている人には見られなかったそうです)。
犬の世話をすることは高度な脳の機能を使うので、認知機能の向上につながります。ただし、犬を飼っていても世話をしない人には認知機能への効果はありませんでした。
「犬を飼っているとモテる」は本当だった
ほかにも犬ならではのメリットがあります。それは、犬の散歩です。散歩が自動的に運動をする習慣をつくってくれるのです。外に出て日光を浴びる量が増えればセロトニンが出やすくなり、さらにメラトニンの分泌も増えるため、睡眠の質も高まりやすくなります。
犬の散歩は、人とのつながりを生みやすいのも利点です。人は共通点がある人に親近感を抱きやすいので、犬という共通の存在がいることで、話しかけられたり挨拶したりと飼い主同士のつながりが生まれやすくなります。
ブルターニュ大学の面白い実験があって、240名の通りすがりの女性に男性から声をかけて電話番号を教えてもらうのですが、普通に声をかけると9%だった成功率が、犬を連れているとなんと成功率が28%と約3倍にも跳ね上がりました。
昔から「犬を飼っているとモテる」という話がありますが、実験結果からも人間関係を円滑にする効果があることがわかっているのです。男性だけでなく女性が連れていても、話しかけられる頻度が上がるので、コミュケーションが苦手な人は特におすすめします。
また、犬を飼う効果が最もあったのが、一人暮らしの高齢者です。死亡リスクが33%も減ったそうです。犬を介してコミュニケーションを実現するのが、犬を飼ういい部分のひとつなのです。
室温が低いと脳は老化する
脳年齢と部屋の温度が関係していると聞いて、驚く人もいるかもしれません。部屋が寒いと老人脳のリスクが高まります。寒いと血管が縮み、血圧が上がってしまうからです。高血圧は認知症のリスク因子なので、血圧を下げることは老人脳を防ぐために大切なことです。
慶応大学の伊香賀俊治先生の研究によると、冬場の居間の室温が低い家と、それよりも5度暖かい家を比べた結果、暖かい家に暮らす人のほうが脳年齢が10歳も若かったそうです。当然ながら、認知症のリスクも軽減されていると思います。
WHO(世界保健機関)は冬場の住宅の室温を「18度以上に」ということを強く勧告していますし、高齢者や子どもがいる家は、さらに高い温度が推奨されています。
実際の冬場の室温はどのくらいの家が多いのか。日本の住宅を2000戸調査したところ、居間で6割、寝室や脱衣所ではなんと9割の家が18度に達していなかったそうです。実際は、居間で16度、廊下や脱衣所は約12度だったそうです。