最新記事
ヘルス

長生きするには「冬の暖房費ケチる」はNG 脳科学者が指摘する「脳をボケさせない部屋」とは?

2022年11月6日(日)10時20分
西 剛志(脳科学者) *PRESIDENT Onlineからの転載

でも、ロボットよりもさらに効果が高いのがペットなどの動物に話しかけることです。温かいものに話しかけるほうがロボットよりも幸福度を高く感じるのです。

ペットを飼うと孤独感が減ったり、動物に話しかけることで幸福ホルモン・オキシトシンが出ることがわかっています。また、動物と一緒にいると血圧が下がったり、認知機能の低下を防いでくれるので、孤独感だけでなく老人脳そのものを予防してくれる効果も期待できます。

中でも特に、私たちに恩恵をもたらしてくれるのが、犬です。最新の研究で、犬を飼うと認知症のリスクが減り、さらに介護リスクや死亡リスクまで減ることがわかっています(ちなみにこの効果は猫を飼っている人には見られなかったそうです)。

犬の世話をすることは高度な脳の機能を使うので、認知機能の向上につながります。ただし、犬を飼っていても世話をしない人には認知機能への効果はありませんでした。

「犬を飼っているとモテる」は本当だった

ほかにも犬ならではのメリットがあります。それは、犬の散歩です。散歩が自動的に運動をする習慣をつくってくれるのです。外に出て日光を浴びる量が増えればセロトニンが出やすくなり、さらにメラトニンの分泌も増えるため、睡眠の質も高まりやすくなります。

犬の散歩は、人とのつながりを生みやすいのも利点です。人は共通点がある人に親近感を抱きやすいので、犬という共通の存在がいることで、話しかけられたり挨拶したりと飼い主同士のつながりが生まれやすくなります。

ブルターニュ大学の面白い実験があって、240名の通りすがりの女性に男性から声をかけて電話番号を教えてもらうのですが、普通に声をかけると9%だった成功率が、犬を連れているとなんと成功率が28%と約3倍にも跳ね上がりました。

昔から「犬を飼っているとモテる」という話がありますが、実験結果からも人間関係を円滑にする効果があることがわかっているのです。男性だけでなく女性が連れていても、話しかけられる頻度が上がるので、コミュケーションが苦手な人は特におすすめします。

また、犬を飼う効果が最もあったのが、一人暮らしの高齢者です。死亡リスクが33%も減ったそうです。犬を介してコミュニケーションを実現するのが、犬を飼ういい部分のひとつなのです。

室温が低いと脳は老化する

脳年齢と部屋の温度が関係していると聞いて、驚く人もいるかもしれません。部屋が寒いと老人脳のリスクが高まります。寒いと血管が縮み、血圧が上がってしまうからです。高血圧は認知症のリスク因子なので、血圧を下げることは老人脳を防ぐために大切なことです。

慶応大学の伊香賀俊治先生の研究によると、冬場の居間の室温が低い家と、それよりも5度暖かい家を比べた結果、暖かい家に暮らす人のほうが脳年齢が10歳も若かったそうです。当然ながら、認知症のリスクも軽減されていると思います。

WHO(世界保健機関)は冬場の住宅の室温を「18度以上に」ということを強く勧告していますし、高齢者や子どもがいる家は、さらに高い温度が推奨されています。

実際の冬場の室温はどのくらいの家が多いのか。日本の住宅を2000戸調査したところ、居間で6割、寝室や脱衣所ではなんと9割の家が18度に達していなかったそうです。実際は、居間で16度、廊下や脱衣所は約12度だったそうです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石油市場に十分な供給、ホルムズ海峡通過船舶は増加=

ビジネス

独インフレ率、3月は前年比2.8%に伸び加速 イラ

ワールド

原油相場が「金融市場に大きな影響」、高い緊張感持っ

ワールド

追加協調放出含め、さらなる対応の準備必要と発言=G
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカートニー」を再評価する傑作映画『マン・オン・ザ・ラン』
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 6
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中