インドネシア、G20警備強化に伴う「弾圧」 環境会議、自転車デモなど次々中止へ
環境団体によるデモが話題となるG20だが、今回は? REUTERS
<活動家たちのデモどころか、民間の協賛イベントすらできない事態に──>
11月15・16日にインドネシア・バリ島で開催される予定の主要20カ国・地域首脳会議(G20首脳会議)に関連してバリ島内の警備が強化され、会議開催期間中の交通、通行、航空機の離発着も制限されるなど現地は厳戒態勢となっている。
これに伴いバリ島以外のインドネシア各地でも環境問題を協議する民間の会議が中止に追い込まれたり、自転車でジャワ島からバリ島に向かう環境活動家によるキャラバンが妨害活動にあうなどの「弾圧」が表面化している。インドネシアの有力雑誌「テンポ」の電子版が11月9日に伝えた。
インドネシア政府は「一般の参加を歓迎する」とG20関連の各種団体・組織によるイベントやシンポジウムなどを歓迎する姿勢を事前に示していたが、実際には容赦ない制限や中止要請などでこうした活動はその自由を奪われているという。
インドネシア政府はジョコ・ウィドド大統領がG20の議長を務め、米バイデン大統領や中国の習近平国家主席、日本の岸田文雄首相など各国首脳が一堂に顔を揃える国際会議の成功を期するあまり、度を越した徹底的な治安対策による余波が悪影響を及ぼしていることまでは視野に入っていないといえる。
準備は90%完了と閣僚
ルフット・パンジャイタン調整相(海事・投資)は11月はじめ「G20の準備は90%完了した」と発表し、会議関連施設建設、道路整備などが完成したことを受けて内外に対して会議開催へ万全の態勢が整ったことをアピールしていた。
バリ島内では各種の規制準備が整うとともに兵士4万4300人、警察官3200人によるパトロールや検問などの実施で治安維持も厳格となっている。
G20参加首脳や各国代表団、インドネシア政府関係者には日中韓の電気自動車が提供され、期間中各国首脳のマングローブ地域視察もプログラムに組み込まれるなど「環境に優しいG20、環境問題に積極的に取り組むインドネシア」を前面にPRすることになっている。
バリ島を訪問する習近平国家主席は16日に首都ジャカルタに移動して、ジョコ・ウィドド大統領と共に建設中のジャカルタ=バンドン高速鉄道の試験線での列車試乗も計画されており、11月9日には実際の車両を使った試験走行も行われた。
同高速鉄道は、中国の全面的支援を受けながらも当初予定の2019年開業から大幅に遅れ、2023年3月の完工を目指している。
しかし、短い区間での試運転とはいえ両国首脳の試乗が実現すれば、中国との関係深化のアピールにもなるとしてジョコ・ウィドド大統領は大きな期待を示している。