最新記事

ウクライナ戦争

衛星写真が捉えた「ロシア軍部隊がベラルーシ国内に集結」...その目的に2つの可能性

2022年11月11日(金)17時43分
サニー・ピーター
プーチン大統領とルカシェンコ大統領

ロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領(2022年6月) Sputnik/Mikhail Metzel/Kremlin via REUTERS

<民間施設を含めると数万人規模が駐留している可能性があるとの指摘も。ウクライナの北側から侵攻する作戦か、それとも?>

多数のロシア兵がベラルーシに流入していることを示すと見られる、新たな衛星画像が公開された。ウクライナの東部と南部で反転攻勢に押されっぱなしのロシアだが、近いうちにベラルーシの支援を得て、北側からウクライナへの攻撃を強化するつもりなのか?

■【写真】ベラルーシ国内にロシア軍が野営地を設営...RFE/RLが公開した衛星画像

米政府が資金提供するメディア「自由欧州放送(RFE/RL)」のベラルーシ版は11月8日の報道の中で、10月31日に民間衛星会社「プラネット・ラボ」が撮影した衛星画像を取り上げ、ロシアが過去1カ月間でベラルーシの3つの訓練場に300超のテントを設置したと報じた。

報道によれば、ベラルーシ西部のアブズ・リャスノウスキに、地上部隊の訓練のために190のテントが設置された。このほかベラルーシ中部のレピシチャには35のテントが設置されて砲兵隊が訓練を行っており、首都ミンスク郊外のラスビダには空軍部隊の訓練用に80のセントが設置されている。

これら3カ所のうちアブズ・リャスノウスキが最も南にあり、ウクライナとの国境地帯から北に約160キロメートルのところに位置しているという。

ベラルーシは「地域協力」の一環としてロシア兵を受け入れ

RFE/RLは衛星画像を基に、トラックや榴弾砲をはじめとする数百の軍事物資も、これらの基地に到着していると報じた。テントの多くは12メートル×7メートルの大きさらしく、ある軍事アナリストがRFE/RLに語ったところによれば、最大で25人の兵士を収容できるとみられる。これはつまり3つの訓練場に、約7500人のロシア兵が駐留している可能性を意味している。

ロシア政府は、具体的に何人のロシア兵をベラルーシに配備するのか、その目的が何なのかを明らかにしていないが、ベラルーシ国防省は、国境防衛に伴う「地域協力」の一環として、国内に9000人弱のロシア兵を駐留させると表明している。

RFE/RLは、新設されたキャンプに駐留していると推定される7500人に加えて、既存の施設にもさらに多くのロシア兵が駐留しているのかどうかは不明だと報じたが、ウクライナ軍の諜報機関は9月に、ベラルーシが2万人のロシア兵を民間の施設に駐留させる準備をしていると主張していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪CPI、2月は前年比+2.4%に鈍化 予想下回る

ビジネス

海外動向など「不確実性高い」、物価に上下のリスク=

ワールド

米デル、25年度はコスト削減で10%人員減 多様性

ワールド

ロ外相「黒海合意は世界の食糧安保のため」、停戦楽観
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 9
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 10
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中