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声の科学

ゼレンスキーが「世界に訴えかける」プロである理由は、声を聴けば分かる

2022年10月26日(水)13時10分
山﨑広子(音楽・音声ジャーナリスト、「声・脳・教育研究所」代表)
ゼレンスキー

VALENTYN OGIRENKO-REUTERS


重要なコミュニケーション手段なのに、ほとんどの日本人は自身の「声」の使い方を知らないと、「声学」を提唱する山﨑広子氏は言う。「声という音」には実は、それを聴く者にも、自分自身にも作用する大きな力があるのだ。本誌2022年11月1日号では「声の科学」特集を組み、その効果、訓練法、さらにはリーダーたちの声の分析を山﨑氏にしてもらった。声はリーダーの隠された「素顔」を白日の下にさらす。

ウォロディミル・ゼレンスキー(ウクライナ大統領)

ゼレンスキーは身長が高くない。ということは声帯も共鳴腔も短いので、本来はもっと高い声である。

しかし声帯は厚いようだ。低い周波数の雑音を交ぜて太くした声を胸に響かせることで、実際に声帯から出ている周波数よりも低く聞こえる高等テクニックを使っている。

【動画】ゼレンスキーの低い周波数の雑音を交ぜて太くした声を映像で見る

抑揚や話すスピード、声量の調節も見事だが、その計算は粗削りな印象を与える太い声で巧みに隠されている。声の使い手としてはドナルド・トランプ前米大統領以上かもしれない。

コメディアン、俳優として自分の声を練り、使いこなしてきたことが、全世界に訴えかける演説で見事に生かされている。

だが何にでもなり切れるプロゆえ、本心がうかがい知れない不気味さもある。

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