最新記事

北朝鮮

「いつ核実験を行ってもおかしくない」アメリカが対北情報収集を強化

Eyeing Possible North Korea Nuke Test, U.S. Steps Up Intel Gathering on Kim

2022年10月25日(火)19時12分
トム・オコナー

ミサイル発射実験の模様を眺める金正恩(写真は10月6日に朝鮮中央通信が配信、場所は不明) KCNA via REUTERS

<24日には韓国と威嚇射撃の応酬を繰り広げるなど朝鮮半島の緊張が高まっていることにはアメリカも懸念を強めていると、米国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は言う>

米ホワイトハウスは、北朝鮮がすぐにも7回目の核実験を行う可能性があると警告。ジョー・バイデン米政権は、北朝鮮の最高指導者・金正恩の次の動きを読み解くために、諜報収集活動の強化に着手しているという。

米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は10月24日、北朝鮮と韓国の間で威嚇射撃の応酬があったことなど、朝鮮半島で緊張が高まっていることについて、本誌の質問に次のように答えた。「我々は、北朝鮮が過去数週間、ミサイル発射を加速させているという理由だけではなく、そのほかの理由からも北朝鮮の挑発行為を懸念している」

カービーはさらに「北朝鮮は一貫して、我々の懸念対象だ」と述べ、こう続けた。「そのため我々は数カ月前から、これまで以上に事態を把握できるように、朝鮮半島沖での諜報活動を増やしている」

彼はまた、「金正恩の頭の中は、我々には分からないが」とした上で、「北朝鮮はいつ核実験を行ってもおかしくない」との見方を繰り返した。

諜報収集活動の強化は、北朝鮮についてカービーが示している3つの主な戦略のうちの1つで、あとの2つは「日本および韓国と二国間または三国間での合同演習を継続する」ことと、「国連の枠内で国際社会との関与を継続し、追加の経済的措置を通じて北朝鮮の責任追及を試みて」いくことだ。

前提条件なしの交渉も「用意ある」

こうした合同演習や対北朝鮮制裁を受けて、金はアメリカやその同盟国が北朝鮮に対して「敵対的な」政策を取っていると非難。戦術核弾頭の搭載が可能なミサイルの発射実験をはじめとする軍事活動を急速に活発化させている。

カービーは、バイデン政権は朝鮮半島の緊張激化を招いている最近の出来事の重大性について、十分に認識していると説明。「だからこそ我々は軍事力の向上に努めているだけではなく」、アメリカが防衛を約束している「条約によって結ばれている同盟諸国」である日本および韓国と協力して、安全保障を強化する措置を取っていると説明した。

また彼は、「朝鮮半島の非核化について、金正恩と前提条件なしで交渉のテーブルに着く用意があることを、はっきりと示してきた」とも述べた。

だがこれまでのところ、「金正恩氏は我々のその提案を受け入れる気がなく、話し合いの機会がないため、我々としては防衛の備えをしなければならない」。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米クアルコム、英アームのライセンス供与適切 米陪審

ビジネス

円安一服か見極め、介入警戒感が再台頭=今週の外為市

ビジネス

グーグルがブラウザ標準搭載契約見直し案、独禁法違反

ワールド

トランプ氏、CEA委員長にミラン氏指名 元財務省高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 5
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中