ロシア兵の「不満爆発」動画に、やらせ疑惑...プーチン統制「弱体化」で内部分裂か
Putin has "lost control" as infighting breaks out among Russia's elite
レストランでプーチンの補佐をするプリゴジン(2011年11月) REUTERS/Misha Japaridze/Pool
<動員されたロシア兵が、待遇の劣悪さや情報伝達の悪さに不満を爆発させる動画が投稿されたが、そこに映った「バッジ」に疑惑の目が向けられている>
ロシアのウラジーミル・プーチンが発動させた部分動員令で招集されたロシア兵たちが、ウクライナへの派遣を前に早くも待遇についての不平を並べ立てている様子を捉えた動画が、ソーシャルメディア上に投稿された。
■【動画】「物資も手当てもまったくない!」...やらせ疑惑が出たロシア兵の動画
10月5日、メッセージアプリ「テレグラム」の親ロシア派のチャンネル「Rybar」に1本の動画が投稿された。ロシア軍の兵士たちが、旅客列車の前に集まっている様子を撮影したと思われる動画だが、位置情報データによれば、ウクライナとの国境に近いロシア西部のベルゴロドで撮影されたものだという。
撮影している人物は、仲間の兵士たちにカメラを向けながら「我々は今、ベルゴロドにいる。全部で約500人いる。物資面での援助も、金銭的な手当ての支給も......まったくない!」と述べている。
兵士の多くは、マスクで顔を覆っている。撮影者は動画の中で、集まった男たちは、プーチンが9月21日に発動した部分動員令の一環として招集された兵士だが、自分たちがどこに配備されるのかさえ知らされていないとも述べた。「準備はまったく行われていない」と彼は述べ、別の人物は「食事も自腹だ」とつけ加えた。
動画は「やらせ」の疑いがあるとの指摘も
動画を分析したジャーナリストらは、この動画はロシアの傭兵組織である「ワグネル・グループ」の創設者エフゲニー・プリゴジンが、ロシア政府によるウクライナ戦争への対応に対する不満から「演出」したものである可能性があると示唆している。
ラジオ・リバティのジャーナリストであるマーク・クルトフは、動画に映っている男たちの中に、ワグネル・グループのシンボルが描かれたバッジを着けている者が複数いるようだと指摘。位置情報データが確認される前の段階で、「どこで撮影されたものにせよ、やらせの臭いがしてきたように思う」とツイートし、さらに次のように書き込んだ。
「動画はワグネル寄りのチャンネルに投稿され、さらにリポストされており、その内容は『セルゲイ・ショイグ(国防相)を更迭せよ』というプリゴジンの主張と合致している。それに一部の者がワグネルのバッジを着けているのも見て取れる。また動画の中のほぼ全ての『哀れな招集兵たち』が目出し帽で顔を隠している」
調査報道集団「ベリングキャット」の創設者であるエリオット・ヒギンズも、動画はプリゴジンが、ロシア政府の評判を落とす目的で「演出」したものかもしれないと示唆した。