韓国、政府も依存するカカオトークのサーバーが火災で停止、LINE利用者が急増している背景とは?
今回の障害は土曜の午後に発生して日曜夜に回復した。平日だったら経済活動にも多大な影響を及ぼしただろう。
カカオの洪銀沢(ホン・ウンテク)・南宮燻(ナムグン・フン)両代表は10月19日、謝罪会見を行って、主要データを別のサーバにバックアップする二重化措置を行っていたが、運営が二重化されていなかったと釈明した。システムはあっても稼働していなかったと説明したが、危急の際に主要データを保護して切り替えるシステムがなかったことが判明した。
2018年11月、KTの阿硯支社で火事が発生し、広範囲にわたって通信が麻痺した後、政府は基幹通信事業者に災害対応を義務付けたが、カカオは基幹通信事業者に該当しないことから規制が緩かった。
私企業の問題に大統領も乗り出した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は10月17日、「(カカオは)民間企業のネットワークだが、国民の立場から見ると国家基盤通信網と変わらない」とし、「国が必要な対応をしなければならない」と記者団に話した。
また、カカオの寡占は公取委が検討しているものと承知していると述べるなど企業の自由競争を強調してきた尹大統領が私企業の寡占に言及した。公取委は遅くとも年内に指針を公開する計画だ。
LINE利用者は3倍増加した
カカオに障害が起きると、すぐさまLINEが動いた。「緊急連絡が必要な時、途切れないグローバルメッセンジャーLINE」という広告を露出したのだ。
カカオトークは障害が起きる前日の10月14日には4112万人が利用したが、16日には3905万人と約5%減少した。フェイスブックは122万人から141万人、テレグラムも106万人から128万人とそれぞれ15.6%、20.8%と利用者が増加するなか、LINE利用者は43万人から128万人へと3倍に増加した。
2021年3月、LINEはユーザーの個人情報が業務委託先である中国の関連企業からアクセスできる状態になっていたことなどを謝罪した。また、LINEトークの画像、動画、ファイルを韓国で保管していたことを明らかにして、中国からのアクセスを遮断し、データを日本国内に移転すると発表した。ソウル市警でサイバー事件を担当する警察官は、カカオはデータが韓国内サーバにあるのでアクセスできるが、LINEは日本なのでアクセスできないと嘆いていた。
カカオトークの障害でLINE利用者が急増したが、喉元過ぎれば熱さを忘れる国民だ。LINE利用者が増えるかどうかはカカオの対応次第だろう。
カカオは今回の障害で被害を受けた有料サービス利用者に加えて、無料サービス利用者に対する補償も検討すると釈明したが、無料利用者の損害を算定できるのだろうか。