「上海協力機構」を西側諸国は冷笑するが、実は着々と「中国的・同盟」は拡大中
China’s Central Asia Focus
ここで、中央アジアに関する長年の短絡的な分析について改めて考えさせられる。中国がこの地域からロシアを追い出そうとしているという不穏な噂は常にあり、舞台裏での激しい競争はエスカレートしかねない。
ただし、中央アジアをめぐる競争は中国とロシアの双方にとって、アメリカとの共同戦線で互いに提供している戦略地政学的な支援に比べれば、はるかに重要性は低い。ロシアはこの地域で形勢が不利になりつつあることは自覚しているが、中国の利益に反すると解釈されるような方法で、自分たちの地位を強化しようとすることはないだろう。
中央アジアは、習が2年8カ月ぶりに外遊を再開する場所として好都合だった。中国が一貫して新しい外交政策を試してきた地域であり、各国政府は習の訪問を円滑に進めるために多大な努力を払って、あらゆる面で経済協力への意欲を見せている。
中国主導の国際安全保障
SCOは西側では冷笑されているが、創設から21年の間に拡大し、今や世界の人口の40%以上を包含する。インドなど民主主義陣営の主要国も参加しており、中国にとっては反欧米の独裁政権の集まりと評される以上の魅力があるということだ。
多くの加盟国にとって、SCOは「より公正な」国際秩序を表現している。第2次大戦後に築かれた西側主導の秩序を超えた新しい選択肢があることを、世界に示しているのだ。
中国の戦略的思考の中で、中央アジアは常に重要な位置を占めてきた。中国国内の安全保障に関する最も敏感な懸念と、さまざまな関係と利害が絡み合う地域だ。そして、10月16日に開幕する第20回中国共産党大会で3期目続投の勝利宣言をしようという習にとって、格好の国際舞台でもある。
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