ASEAN、ミャンマー問題で重大局面 マレーシア外相「反軍政組織を取り込むべき」
ASEANの旗 LIM HUEY TENG / REUTERS
<進展しない状況に内政不干渉の原則を転換するか?>
ミャンマー問題に取り組んできた東南アジア諸国連合(ASEAN)が一向に進まない和平・仲介の方針を転換して、これまで「交渉相手」としてきた軍事政権側に見切りをつけ、反軍政の立場の民主派組織との関係を強化すべきとの意見が出てきた。
これは国連総会に出席のためにニューヨークの国連本部を訪れているマレーシアのサイフディン・アブドラ外相が9月19日に記者団に明らかにしたもので、もし民主派組織の取り込みが実現すればASEANにとって大きな方針転換となると同時に、これまでミャンマー問題に関して主導権を握っていたインドネシアから、マレーシアによるASEAN主導という新たな動きへの転換という意味がある。
マレーシアのサイフディン外相はかねてからASEANによるミャンマー問題へのアプローチが手ぬるく、実質的な効果をほとんど挙げていないことに不満を表明し、和解交渉に全く応じないミャンマーのミン・アウン・フライン国軍司令官が率いる軍政と決別して、民主派が組織した「国家統一政府(NUG)」を交渉相手とするべきだと主張してきた。
だがこれまではミャンマー軍事政権の後ろ盾となっている中国への影響を懸念するラオスやカンボジアなどの反対で実現しなかった経緯がある。
NUGと接触し、加盟国に呼び掛け
ところがサイフディン外相はニューヨークでの会見でASEAN加盟国として初めてNUG側とニューヨークで接触したことを明らかにするとともに、ASEAN加盟国に対して「軍政との交渉を中止して今後はNUGをミャンマー代表として迎えいれるべきだ」との考えを明らかにした。
サイフディン外相によるとNUGとの接触はミャンマー北西部ザガイン地方域の村の学校を軍が砲撃して少なくとも7人の児童が死亡、クーデター以降最悪となる児童の犠牲がでたことが伝えられる中で行われたという。
こうしたマレーシアの方針転換に対して他の加盟国がどう応じるかは現段階では不確定だが、国連総会と同時に9月22日にも開催予定のASEAN外相による非公式協議でミャンマー問題が議論されるのは間違いなく、ASEANとしてはミャンマー問題を巡り重大局面を迎えることになるとみられている。