ウクライナ北東部で撤退の屈辱を受けたプーチン 巻き返しは可能か?

ロシアのプーチン大統領は(写真)、ウクライナ北東部においてロシア軍が素早く部隊を退却させたことについて、まだ、公式にコメントしていない。サンクトペテルブルクで7月代表撮影(2022年 ロイター)
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ北東部においてロシア軍が素早く部隊を退却させたことについて、まだ、公式にコメントしていない。ただ、国内のナショナリスト勢力からは、戦争の主導権を奪い返せと迫られている。
西側情報当局者の話や公開情報の分析結果が正しいとすれば、プーチン氏に事態を早急に収拾できる方法は乏しい。行使可能な手段のほとんどは、ロシア国内絡みや地政学的な側面でリスクを抱えている。
1999年に権力の座についたプーチン氏がこれまで相手にした中で最も手ごわかったのは、チェチェンや北コーカサス地方のイスラム勢力だったが、これらの軍事作戦では部隊増強という道を選んだ。
ウクライナの戦争で同氏が持つ主な選択肢は、以下の通り。
■戦線の安定化と部隊再編後に反撃
ロシアと西側の軍事専門家の意見が一致しているのは、ロシア側の立場で見ると、ロシア軍は早急に戦線を安定させてウクライナの進撃を食い止め、部隊を再編し、可能ならば反撃作戦を展開する必要があるという点だ。
しかし、西側諸国の間では、ロシアがこれまでのウクライナ軍との戦闘で多くの兵力を失い、遺棄ないし破壊された装備も多数に上る以上、果たして新たに投入する十分な地上兵力や兵器があるのか疑問視されている。
ポーランドのロチャン・コンサルティングのコンラッド・ムジカ所長は、ロシア軍のウクライナ北東部からの後退を受け「兵力は枯渇している。志願兵部隊は戦力が低下し、募兵活動によっても想定された規模の人数を届けられていない。入隊希望者が少なくなっているので、状況は悪化する一方だと思う。もし、ロシアが兵力を増やしたいなら、総動員が不可欠だ」と話す。
■国家総動員
ロシアは過去5年以内に軍務経験がある予備役兵約200万人を動員できるが、彼らを訓練して実戦配置するには時間がかかる。
大統領府は13日、「現時点で」国家総動員は議論されていないと明らかにした。
総動員はナショナリストの支持を得られるとしても、都市部で暮らす一般の成人男性には歓迎されないだろう。彼らは戦争参加に消極的と伝えられている。
政府としても総動員となればウクライナ問題に関する公式メッセージを修正し、目的を限定した「特別軍事作戦」ではなく、全面戦争と呼ぶしかなくなる。そうなると大半のロシア国民のウクライナ侵攻前の日常生活を確保するという政府の方針も、撤回しなければならない。